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2018.06.25

ピンチをチャンスに!立川・府中が見せたフットサル興行の新たな可能性

PHOTO BY軍記ひろし

クラブ名が「立川・府中アスレティックFC」となって初めて迎えたホームゲームは、これまでのFリーグでは感じられなかった特別感を味わえるものだった。これまで使用していた府中市立総合体育館がFリーグ基準に満たないというホームアリーナ問題により、府中から立川に拠点を広げるなど、多くの問題を抱えながらも逆境をチャンスに変えた現場の声を聞いた。

フットサルはコンテンツとしてまだやれる

今シーズンから本拠地を立川に移し、クラブとして再スタートを切った立川・府中アスレティックFCが、ホーム開幕戦を迎えた。ペスカドーラ町田との東京ダービーは、白熱したシーソーゲームとなり、敗れはしたが好ゲームを演じた。しかし、それ以上に観客の心に残ったのは、立川・府中が仕掛けたこれまでのフットサルでは味わえなかった様々なエンターテインメントだった。

試合開始前、アリーナが暗転するとLEDライトやミラーボールを使った光の演出が開始。その鮮やかなパフォーマンスにスタンドからは歓声が上がる。アスレファンタジスタ(立川・府中のチアダンスユニット)が、LEDライトが内蔵された特殊なボールを使ったパフォーマンスでさらに会場を盛り上げると、いよいよ選手入場。突如始まったオープニングイベントだったが、スタンドの観客も携帯のライトを振ってさらに場を盛り上げる。アウェイチームが整列した後、スモークとともに今度は立川・府中の選手が1人ずつスポットライトを浴びてピッチに入っていく。今までのFリーグの会場ではなかった、特別な空間がそこにはあった。

試合中にも多くの仕掛けがあった。「スタンドから見るとタッチライン側が見切れる」という観戦上の懸念点が指摘されていたが、アウェイサポーター席の上部にはピッチサイドからの映像を流すビジョンが設置されたことで、すべての局面がより見やすい環境となった。さらに立川・府中がゴールを挙げた際にはLEDライトとスモークが吹き出すなど、多くの演出が行われた。

「立川・府中アスレティックFC」となって最初のホームゲームは大成功だった。他のアリーナスポーツと同様に、フットサルでも演出で観客を楽しませることが可能だと示したのだ。しかし、ここまでの道のりは決して楽ではなかった。

今回、様々な演出を手掛けてきた立川・府中の千葉岳志会長は、ホーム開幕戦を迎えるまでの様々な苦労を明かした。「昨年、我々はアリーナの問題があり、ディビジョン1に残れるかどうかの瀬戸際にいました。その中でここ、立川に場所を移して生き残れることになりました」

そもそも立川・府中はこれまで郷土の森総合体育館(府中市立総合体育館)を使用してきたが、正規サイズのコートを体育館内に設置できないことから、Fリーグでの使用を認められなくなった。立川市に拠点を移して再スタートとなったが、今度はコストの面での問題が発生する。

「これまでは市の体育館であり、非常に安い金額でホームゲームを開催することができました。一方で今度は民間の体育館。今までよりも多くのコストが掛かってしまいます」

しかし千葉会長は、このピンチをスポーツビジネスとしてのチャンスと捉えたという。これまでは市の体育館を使用していたことで様々な制約、制限があった。しかしアリーナ立川立飛は民間の体育館であり、使用に関する制限や制約が緩和されたことで様々な企画を実施しやすくなった。

「フットサルというコンテンツは素晴らしいものがあります。ただ、何かがおかしくて興行として成り立っていません。今回の件があり、思い切ってビジネスとして考えようと思ったんです。アメリカのNBAや日本のBリーグを目指そうと。攻めようと考えました」

こういった発想の転換はクラブ内でも良い影響を与えているという。「演出チームのメンバーは以前から変わりません。しかしやれることが多くなったので多くのアイデアが出てきます。今回のLEDライトのボールもそこで出た話で、協力してくれる会社を見つけて使わせていただきました」

千葉会長自身も「エグゼクティブシート」を発案した。「エグゼクティブシート」とは、Fリーグでは最高額となる価格10,000円の特別席。ベンチの対面のピッチサイドで、臨場感を味わいながら観戦できると同時に、チケット購入者だけが利用できる「エグゼクティブラウンジ」ではアルコール類を含むドリンクが無料で振る舞われるなど、最高のおもてなしを味わえるのだ。

リーグ開幕前に開催されたリーグカップ戦「sfida Fリーグオーシャンカップ2018」では、千葉会長が自らラウンジを製作したという。しかしそれを見たリノベーション会社が「もっと良いものを作りますよ」とスポンサーについたことで、より高級感のあるラウンジになった。

その他、特別感を味わえる「エキサイティングシート」も好評だ。ゴールマウスの後ろに張られた防護ネット裏のバックロールチェアは、「シュートをバンバン浴びてもらえる。Fリーグの選手のシュートは速い、怖い(すごい)と思ってもらえるようなシートです。真後ろで試合を見ることなんて今までなかったですからね」と千葉会長も胸を張る。

「お客さんは楽しめれば、それに応じたお金を払ってくれます。選手はピッチで勝つためにプレーし、僕たちはお客さんに満足してもらえるサービスやコンテンツを考える。そしてお客さんが『ここに来ると楽しいよね』と思ってもらえる空間を作りたいですね」

「フットサルはコンテンツとしてまだまだやれますし、やり方がおかしいだけだと示したい」と言う千葉会長を先頭に、立川・府中は、Fリーグの新たな可能性を示した。

さて、そんな立川・府中は、6月30日の第3節で王者・名古屋オーシャンズをホームに迎える。

「もちろん(今回のような演出を)やりますよ。相手も名古屋ですからね」

フットサルの新たな可能性をぜひ会場で感じてみてはいかがだろうか。

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