更新日時:2023.03.19
【全日本選手権】1人でシュート14本!何度阻まれても、最後に決勝点を決めきったヒーロー・清水和也「決めるのは自分だということを信じて、みんなも信じてくれた」
PHOTO BY高橋学
19日、JFA第28回全日本フットサル選手権大会の決勝が駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われ、湘南ベルマーレとフウガドールすみだが対戦。すみだは第1ピリオド終了間際に失点し、1点ビハインドで第2ピリオドを迎えた。32分に相手に退場者が出ると、数的優位を生かして34分に星龍太が同点ゴール。試合は延長戦にもつれ、残り2分24秒にエースの清水和也が決勝ゴール。同大会のタイトルを2009年以来、Fリーグに参入してからは初めて日本一の座に立った。
この決勝戦、すみだのエース・清水和也は湘南から激しいマークを受けながらも、第1ピリオドは3本、第2ピリオドでは8本のシュートを打つも得点には至らず。ポストに阻まれ、ディフェンスに阻まれ、そして湘南の守護神・フィウーザに阻まれ続けた。
それでも、自分を信じ仲間を信じ続け、14本目のシュートを決めきり、チームを優勝に導いた。
試合後を終え、ミックスゾーンにて清水和也が取材に応じた。
全員が全員仲間のために身体を張れた
──優勝おめでとうございます
ありがとうございます。
──まずは率直に優勝が決まった今のお気持ちを聞かせてください。
苦しい試合でしたし、なかなか点が取れなかったという自分自身の葛藤もありました。でも、最後の最後決めるのは自分だということを信じていましたし、みんなも信じてくれた思いが乗り移って、ゴールを取れたんじゃないかなと思っています。うれし涙でそれしか覚えていないですけど、最高の景色を見れたなと思っています。
──監督が試合後の記者会見で、「和也しか決める人はいない。そのなかで決めてくれたことがすごい」ということをコメントしていました。決まった時はどんな気持ちでしたか?
誰がどう見ても、自分が決めたっていうふうに思う点だったと思いますし、どんなかたちであれこの1点というのは、自分たちが優勝に近づくための非常に大事なものでした。誰しもがPK戦になるんじゃないかという雰囲気もありましたけど、自分自身は必ず決めるっていうふうに思っていたので、その瞬間は冷静にフィウーザ選手の位置も見えていましたし、1トラップしたそのあとも外れていたのは見えていたので、ゴールに流すだけだったかなと思います。
──和也選手のセットは、諸江選手がしっかりバランスを取り、畠山選手が走って、そこに北村選手が入ったりもして。和也選手がマークを受けることも多いなかで、2枚目で中田選手が入って、本当に完成度が高いなと思って見ていました。ご自身のなかではその4人の連携はどのように感じていましたか?
何も言わなくてもパスが来るという信頼関係がありましたし、彼らのためだったら自分が怪我をしてでもボールを抑えてやろうという気持ちがありました。決勝トーナメントは正直、自分に対する圧力を感じていましたし、それだけ点を取られたくないんだろうなと。もちろん当たり前のことですけど。そのなかで、カツ(中田秀人)が3試合で5点をとって、結果を示していましたし、それ以外にも北村が怪我しながらも最後まで必死に守ってくれましたし、(諸江)剣語さんもベテランなのに若手のようにピッチを走ってくれましたし、畠山(勇気)も代表にも入るようなピヴォの選手を抑えていたところもあるので、そういった面では非常に全員が全員仲間のために身体を張れたし、一人ひとりが与えられた仕事をできたんじゃないかなと思います。
強い気持ちを持てたのは、間違いなくチームメートのおかげ
──今日、前半から何度も何度も得点できる機会があって、でも打てども打てどもクロスバーに嫌われたりもして、メンタル的にも途中かなり来たんじゃないかなと思いますが、最後まで気持ちを持ち続けられた強さの部分を教えてください。
正直自分との戦いだったのかなと思います。前半の決定機がポストに当たってから、今日は自分の日じゃないのかなと思いながらも、監督含め選手が「お前なら取れる」と言ってくれました。4対3の数的有利のときも1個クロスバーに当てたりもして、どんだけゴールに嫌われてるんだと正直思いましたけど、自分ならやれるという強い気持ちを持てたのは間違いなくチームメートのおかげかなというふうに思っています。
──最後やっぱり絶対自分が決めてやる。ヒーローになってやると思って。
それしか狙ってなかったですね。
──ゴールを決めた時、一瞬エアポケットになったかな?と入れ替わりのシーンで。隙を見てたという感じですか?
それだけパワープレーの守備からオフェンスに変わる時は、僕が出るってきまっていましたし、相手も最初は(内村)俊太くんが自分にマンツーマンでついていたところに、彼が退場してから(牧野)剣心が入って、間違いなくそこに当ててくるだろうなというところはあったかと思うんですけど、交代の隙をみつけてカツからいいボールが来たので、自分のなかでもあのかたちで何回か点をとったことがあったので、そのとおりにボールを動かして決めるだけだったかなと思います。
──何度はずしても、あのシーンは冷静だった?
そうですね。フィウーザ選手がどういうゴレイロかというのもわかってるつもりでやっていましたけど、自分のコンディション的にいい所に置けなかったりとか、蹴れなかったりとか、たくさんの要因はあったと思います。それでも最後の最後まで我慢して、最後に彼は滑ってくると思っていたので、そういった意味ではすごく冷静に決められたのかなと思っています。
──ゴールを決めて一目散に応援席のもとに走って行きました。今日はたくさんのファン・サポーターが集まって声出し応援で後押しをしていたかと思いますが、フィールドのなかで和也選手はどう感じていましたか?
間違いなくベルマーレは、日本でもトップクラスのファン・サポーターを持っているチームだなと思います。そのなかで負けじとたくさんの人がああいうふうに応援席に入ってくれて、最後の最後までエールを送ってくれました。カツが5点決めてるうちに、俺にありがとうも言わないで応援席のほうに走って行く姿を見ていて、カッコいいなと思っていたので(笑)自分もそれができて良かったです。
現状と向き合って、良くしようともがき苦しんだ今シーズン
──久しぶりに日本でのシーズンを過ごして、アジアカップでも優勝して、個人としても得点王をとって、そして最後にクラブでも優勝しました。結果的には最高のシーズンだったんじゃないかなと思いますが、改めて今年1年を振り返っていかがですか。
良いこともあれば、悔しかった思い出も自分のなかに残っています。プレーオフに行けなかったことに関しては、チームに申し訳ない。もっと点を決めていればとも思いました。だからこそ、この選手権は、このメンバーでできる最後の機会だったので、何としても優勝したいという強い気持ちでプレーすることができました。本当に楽なシーズンではなかったですが、誰一人下を向かずに自分たちの現状と向き合って、そこから更に良くしようともがき苦しんだ結果、こうして優勝することができました。お世話になった先輩だったり、いろんな人を気持ちよく送り出すことができるのかなと思っています。
──そういった悔しさも含めて、この選手権にぶつけることができた?
自分のなかでは得点王をとれたとか、AFCで優勝したというよりかは、「なんであの試合で点が決められなかったんだろう」というところがすごく頭のなかに残ってました。自分自身が決めるチャンスが多かったなかで、その仕事を果たせなかったというのは、申し訳ない気持ちもあって、そういったなかで、全てをここにぶつけると思っていました。結果的に決勝トーナメントでは1点しか取れなかったですけど、その1点がチームにもたらした影響は間違いなく大きかったと思うので、自分の仕事はここでできたのかなと思っています。
──来シーズンに向けた課題はなにかありますか?
自分自身としては、代表でもそうですけど得点が求められるポジションなので、常に1点、2点を積み重ねられる選手にならなきゃいけないなと思います。そのために、日頃の努力もそうですが、感覚的に研ぎ澄まさなきゃいけないなという部分がたくさんあるので、そういったところを伸ばして、もっともっと得点力のある選手になりたいなと思っています。
──感覚的に研ぎ澄ますというのは、ゴールへの嗅覚といったような部分でしょうか?
それもそうですし、「このゴレイロならこう」という事前情報を持って、そこでシュートを打ち抜く技術も間違いなく必要になってきます。今日も数的有利な2分間で点がとれなかったので、そういったところも自分自身が仕留めるという気持ちが必要だなと思っています。
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