SAL

MENU

作成日時:2023.12.04
更新日時:2023.12.04

【F1第21節|記者会見/浦安vs湘南】全員でつかんだホーム最終節での完封勝利。浦安・小宮山友祐監督「誰が出ても安心できるゲームだった」

PHOTO BY勝又寛晃

12月1日、Fリーグ2023-2024ディビジョン1の第21節、バルドラール浦安vs湘南ベルマーレがバルドラール浦安アリーナにて行われた。

浦安は11月1日、12年在籍した“ミスターバルドラール”の加藤竜馬、ネクストブレイクとして期待されていた大島旺洋の今シーズン限りでの現役引退を発表。今節はクラブに貢献した選手たちのホームアリーナでの最後の勇姿を見届けるべく、平日にも関わらず多くのファン・サポーターが駆けつけた。

立ち上がりから押し込む浦安は、15分、左サイドの長坂拓海の折り返しから、大島が左足シュートで先制点をマークし、1点リードで第1ピリオドを終える。

続けて第2ピリオドの34分、カウンターから大島がドリブルで駆け上がり、田中晃輝に向け斜めのパスを送る。一度は相手に阻まれたものの、こぼれ球から田中が追加点を決めると、残り50秒で大島がパワープレー返しで突き放し3-0でタイムアップ。

引退選手の活躍で上位リーグ進出を決め、誰が見ても“出来過ぎ”と言えるホーム最終節となった。

試合を終え、小宮山友祐監督が記者会見に出席した。



誰が出ても安心できるゲームだった

●バルドラール浦安|小宮山友祐監督

──試合を振り返って。

何としても勝ちたい試合でした。相手のフィウーザ選手もいいGKですし、1点の重みがある試合だというのは選手たちも伝えて、まずはディフェンスからしっかり入りました。あとは湘南がどういうフットサルをしてくるかと、自分たちの噛み合わせでしたが、私としては思い描いたプランでゲームが進んで、思い描いた結果を取ることができました。しっかり勝ち点3をホーム最終戦で取ることができたことに、非常に満足しています。

相手は堀内(迪弥)選手が欠場しており、ナタン選手が出た時にはクワトロでボールを保持しながら、彼の背後を狙っていきました。出た選手全員すごくコンディションも良かったので、柴山(圭吾)東出(脩椰)(加藤)竜馬ディドゥダのセットもどこかしらのタイミングで使おうというのも、最初から決めてました。

今シーズンは開幕から誰かしらが怪我や体調不良でメンバーがそろわず、ベンチに入れなかったメンバーも含めてようやく全員が一番いいコンディションで戻ってくることができました。誰が出ても安心してゲームを見ていられる試合だったなという印象を受けています。

上位リーグ進出が決まったのでまずは一安心していますが、いつも言ってる通り、僕たちはタイトルを獲ることが目的です。まだ町田と勝ち点が10以上離れているので、次の町田との試合はとても大事な試合になると思っています。今日はホーム最終戦で勝てたことをしっかり喜んで、来週に向けてまた明日から準備していきたいです。

──監督からもあったとおり、今まではファーストセットのメンバーの出場時間が圧倒的に長く、今日に関しては他のセットを長く使っていました。いつも以上に安心をして、ピッチに送り出すことができたなという感覚は、やはり強いですか?

そうですね。ファーストセットに関しては代表組も多く、ウズベキスタンとあれだけ激しい試合をしてきたので、練習を見ていてちょっと重そうな部分もありました。本人たちは大丈夫と言っていましたが、12月は連戦もあり無理に出して怪我をさせるようなことはしたくなかった。

そういった背景も踏まえながらも、ここ最近のセカンドとサードのセットはすごくいい状態だったので、かなり期待感もありました。今シーズンのリーグ序盤は特に、ファーストセットに“おんぶに抱っこ”な時間も長かったですが、今は全員が安定したパフォーマンスを出せるようになり、今日の戦いぶりからも、チームの総合力や成長を感じました。

──ハーフタイムにはどんな話をしましたか?

1点では勝てないので、どうやって2点目を取りに行くかというところですね。前半にやってきた背後を狙うアクションをもっと増やしていくことと、GKが上がった時に私の目からは湘南のディフェンスが少しずれているように見えたので、そこでしっかりボールをセカンドポストに飛ばすことができたらいいよねと。前半にも吉田がセカンドポストまでボール飛ばしたものの、誰もそこにいないというシーンがあったので、そこはしっかり田中や空が埋めに行けよという話をしました。そして後半には田中がリバウンドでゴール決めたので、私のオーダーに対してしっかりと答えてくれました。

あとは湘南が長い時間パワープレーをしてくる可能性もあり、パワープレー時のディフェンスにはファーストセットを当てたかったので、後半も出場時間をコントロールしながら、最後の一番大事な局面でパワーを発揮できるようにしようと伝えました。



自分で引き際を決められるのは幸せなこと

──そして、今日の主役として大島選手が2ゴール1アシストをマークしました。引退を発表し、今日がホームで戦う最後の試合になったヒーローに対して、監督の思いを教えてください。

高校卒業して新潟から上京して、セレクションを受けに来た時から彼のことを見てきましたが、当初は最初は本当に細くてひ弱で「本当に大丈夫か?」とかなり心配でした。前監督のリケルさんが「あいつは絶対化けるぞ」ということで加入が決まり、彼がセグンドで練習しているのを見て、ボールコントロールもうまいし、ボールを丁寧に扱う選手だなという印象を受けたことを覚えています。

ただ、フィジカルが弱すぎて、このままじゃFリーグでは到底無理だろうなと。それでもリケルさんがトップに上げるという判断をして、強化指定選手としてプレーしていましたが、予想どおり強度が足りず、試合に絡めないことが続いたので、もう一度セグンドで鍛え直してこいという話をしました。彼からしたら、降格したというショックもあったとは思いますが、本人には降格ではなく、試合経験を積ませたいと話をして、「セグンドで王様になって戻ってこい」と送り出しました。

そこから決して腐ることもなく、努力し続けたことが彼の人間性の素晴らしさです。自分がやるべきことにしっかり目を向けて、コツコツこなしてきてくれました。もともと技術や戦術眼は素晴らしいものを持っていましたが、それに経験とフィジカルが少しずつついてきて、セグンドでも中心選手になって、実力をつけてトップチームに戻ってきてくれました。

今では、チームでも指折りの球際の粘り強さを見せてくれて、相手に引きずられて何回吹っ飛ばされても、何度も向かっていく。足で相手がボールを蹴るところを頭でいったり、人一倍泥臭い部分を非常に評価しています。私もこういう性格なので、あんまり選手に面と向かって褒めることのほうが少ないですが、常に厳しい要求に答えてくれた選手だったなって。彼はもともとフットサルは5年間というのを決めてたので、残りが何年っていうところも逆算して、今、何をしなきゃいけないかっていうのをよく考えていたんだと思います。

予定どおり5年で辞めるという話を聞いた時も、もったいないぞというのは何度も伝えましたし、今シーズン怪我して半年出てないんだから、まだ4年半だろって話もしました。もし監督が嫌で辞めるなら、「俺が辞めるからお前が現役を続けろ」と言いたくなるくらいの逸材です。本当に日本のフットサル界においての財産だと思いますし、あんなパフォーマンス出せる選手が辞めてしまうことが、一人の先輩として、所属チームの監督としてはやっぱり寂しいです。

でも頑固なんですよ。もう5年って決めたら、5年ですと。フットサル選手をやることも指導者をやることも、彼の人生ですからね。

ただ、アキ(大島)にも竜馬にも伝えましたけど、自分で自分で引退を決められる選手って幸せなんだぞと。どのスポーツも自分で引退って決められる選手って少なくて、大体が戦力外通告を受けて辞めることの方が多い。自分で引き際を決められるっていうのはすごい幸せなことなんだよって。だからこそ、次のチャレンジはもっと頑張らなきゃいけない。そこから先の人生の方が長いし、何をするかはずっと見られているからねということは伝えました。

あとは最後に。高橋健介しかり、私もそうでしたけど、浦安で引退決めた選手って、大体ホーム最終節に点を取るんですよ。だから今日も試合前に「引退決めたやつって大体点を取るから、期待してるぞ」と言ったら2点も取って。もうびっくりです。フットサルの神様か浦安の神様がいるのかなって、ちょっと震えましたよね。

U-23の代表にも呼ばれましたし、今日だって長坂、石田、本石よ代表選手といきなりポンと出されてもあれだけのパフォーマンス出せるって、やっぱり特別ですよ。もったいないなとは思いますけど、彼のこれからの指導者を目指す道を応援したいなと思いますし、一人でもいい選手を育てて、彼のチームからこの浦安でプレーする選手が出てきてくれたらうれしいです。

──語りきれないかと思いますが、加藤選手に引退に関しても、少しだけ気持ちを聞かせてください。

竜馬に関してはもう功労者ですよね。一緒にプレーもしましたが、よくやってくれてます。

神戸から来たやんちゃ坊主がキャプテンになって、日本代表になって……。私が1年目監督になった時も、迷うことなく竜馬にキャプテンをお願いしましたし、本当に人としても成長してくれました。

ただこのクラブのことを考えたらずっと彼だけに頼っていたらダメだし、自分のプレイに集中して欲しいという思いもあって、(石田)健太郎をキャプテンにしたいと相談した時も納得してくれて。それからも、ベテランとして素晴らしい振る舞いをしてくれましたし、うちの選手たちは竜馬の背中を見て成長してきたと思うので、もう感謝しかないです。

シーズンが始まる前に「まだやれるんじゃないか」という話をしましたけど、彼も意思が固かったですね。さっきも言ったとおり、こっちが無理やりやらせるものでもないし、そうやって自分で引き際を決められたっていうのは、竜馬にとってもいい決断だったのかなと思います。

まだこれからもレギュラーシーズン1試合と上位リーグ5試合、全日本選手権もあるので、浦安の心臓として、魂として。若い選手に経験や振る舞い、プレーの全てを全部置いていってほしい。それができるのが竜馬なのかなと思うので、期待しています。



▼ 関連リンク ▼

  • AFCフットサルアジアカップ2024予選|大会概要・試合日程&結果一覧
  • Fリーグ2023-2024 試合&放送日程

▼ 関連記事 ▼