更新日時:2024.06.15
【リアルインタビュー】「浦安をチャンピオンに」帰ってきた最強のストライカー、ロドリゴの新たな物語|STAR is BACK
PHOTO BY勝又寛晃
2022-2023シーズン終了後、惜しまれながらも湘南ベルマーレを退団したロドリゴが、再びFリーグの舞台に帰ってきた。
2012年に初来日後、立川アスレティックFC(当時府中アスレティックFC)、デウソン神戸、湘南、そしてタイリーグの強豪チョンブリー・ブルーウェーブFCを渡り歩いたヒーローの今度の拠点は、バルドラール浦安。
これまで数々の敵を切り裂いてきた衰え知らずのドリブルを武器に、自身にとってもクラブにとっても初のリーグ優勝を目指すべく、開幕に向け万全の準備を整えている。
「浦安でもたくさん応援してもらえる選手になりたい」
日本を愛し、愛される「最強助っ人ストライカー」が、その熱い思いを語った。
取材・文=青木ひかる
※取材は5月21日に実施
もう一度Fリーグで
──まず少し遡りますが、2012シーズンから日本でプレーしてきたロドリゴ選手が、なぜ2022シーズンを終えてタイに移籍することを決めたんでしょうか?
湘南ベルマーレでの7シーズンは、これまで所属した立川(アスレティックFC)や(デウソン)神戸と一緒でみんな優しくて、とても充実した時間でした。でも、2位になって、4位になって、また2位になって。優勝できそうで、できないということが続いて少しモヤモヤしてきて……。家族とも環境を変えて、リフレッシュしようと相談して、タイへの移籍を決めました。
──タイはアジアでもフットサルが盛んな国の一つですが、どんな1年になりましたか?
チョンブリー(ブルーウェーブFC)のことを知っている人も多いと思いますが、日本で言うと名古屋オーシャンズのようなチームで、16シーズン中11回優勝しているレベルの高いクラブです。ただ、昨シーズンについては怪我人も多く少し苦しいシーズンでした。
加入した時は自分のコンディションもとても良く、前半戦は11ゴールを決めることができました。折り返しの中断期間の間に怪我をして後半戦はゴールが少し減ってしまったけど、そのぶんアシストを増やしてチームを助けることができました。とてもいいシーズンを過ごすことができたと思います。
──どこのチームに行っても2ケタ得点をし続ける印象ですが、コツなどはあるんですか?
シュートの質も大事だけど、一番大事なのはシュートの前ですね。キーパーの位置をちゃんと見る、顔を上げて打つ準備をする、キックの力をコントロールする……。いろんなことがあります。
──そこから、1年で日本への復帰を決めた理由は?
チョンブリーとは複数年での契約だったので本当は今シーズンもタイでプレーする予定でした。でも、浦安から連絡が来て、すぐに日本に戻ることを決めました。家族も僕もやっぱり日本が大好きだし、タイでも十分いい1年を過ごせたので、もう一度Fリーグで自分の力を出したいな、と。オファーが来た時は、とてもうれしかったですね。
帰国して驚いた、若手選手の質
──オーシャンカップでもすでに活躍を見せていましたが、帰国してからのコンディションは問題ないですか?
12月にタイのシーズンが終わってブラジルに帰ってからは4カ月くらいオフだったので、ダイエットをしたり筋トレをたくさんしたりして、だんだんといい状態に戻ってきました。まだ100パーセントとは言えないので、開幕までにしっかりと準備をして、よりベストな状態でプレーしたいです。
──早速ゴールも決めていましたね。
1回戦からたくさんシュートは打っていたけど決めることができなくて、2回戦目でしっかり決めることができました。チームが勝つことが一番だけど、毎試合自分がゴールをしたりアシストをすることをイメージしているので、得点できたことでリーグの開幕をいいメンタルで戦えることにワクワクしています。
──新しいチームに加入してみて、前に日本でプレーしていた時との違いはありますか?
これまでは朝練習のチームでプレーしてきましたけど、浦安は夜だからまだちょっと慣れないし、眠くなっちゃうときがたまにあります(笑)。試合になると浦安はクワトロと3-1を使い分けながら試合をするので、そこも湘南とは全然違いますね。体育館にジムがあったり、いろんな設備があるのは小田原アリーナと同じでトレーニングはしやすいです。
──浦安は去年までは右利きの選手ばかりでしたが、左利きのロドリゴ選手が入ってきたことで新しい攻撃の形を生み出せそうな気がします。
たしかにパターンがこれまでとは違うかもしれないですね。旋回する時もずっと右回りばかりなので、「あれ?左もあるよ〜」と思っています(笑)。ちょっとずつ慣れてきているところもあるけど、みんながまだどんなプレーができるのかもわからないし、みんなも僕のことがわからない部分も多いあるので、たくさん練習して、開幕してからはもっといい動きができるんじゃないかなと思います。
──若手も多いですが、そこも含めて浦安はどんなチームだと感じていますか?
若いのにフィジカルも強くていい選手ばかりで、本当にびっくりしました。チョンブリーも若い選手が多かったけど、技術はまだまだでサポートしないといけなかった。でも浦安は僕が助けるだけじゃなくて、若い選手も僕を助けてくれるので、一緒にプレーできてうれしいです。
スタッフも含めてとにかく仲良しで、新加入のレアンドロのことも僕とかイゴールだけじゃなくてみんな気にして手助けしてくれている。僕は日本でのプレーも長いけど、日本に来たばかりのブラジル人選手にとっては不安なことだらけで、力を発揮できないことも多いので、とても心強いはずです。
加入する時も、オーシャンカップでゴールを決めた時もたくさんうれしい言葉をもらったけど、まだ浦安のファン・サポーターに直接挨拶できていないので、ホームアリーナで早く点を決めたいですね。
取り組みを継続すれば、4年後は大丈夫
──少し話は変わりますが、タイに渡る前にロドリゴ選手はブラジル代表にも選ばれ、日本代表と対戦もしていました。今回、代表がワールドカップ出場を逃したことについて、何か感じたことはありましたか?
日本は、イランと同じくらい強くていいチームだったことも知っていたので、ワールドカップに行けないことが決まった時は、本当に驚きました。試合の前に数人のベテラン選手が怪我で離脱してしまいましたけど、若くても技術のある選手がたくさんいるから問題ないと思っていたので、ショックでした。
──一方でタイは出場枠をすでに持ちながらも、決勝まで駒を進めていました。チームメートに代表選手も多かったと思いますが、アジア各国のレベルが上がっているということ関係しているんでしょうか。
リーグのレベル自体はスピードのある選手が多かったり、力のあるブラジル選手がいたりすることは、日本と大きくは変わらないです。でも、暑さや環境面が整備されていないこともあって、日本のほうがプロフェッショナルだし、フィジカルも少し強い。
ただ代表チームに関しては、前のアジアカップは前任の監督が若い選手をたくさん集めて戦っていたところから、今回はミゲル・ロドリゴ監督が就任して、ベテラン選手をもう一度呼んで戦いました。タイのスーパースターのスパウットもメンバーに入ったり自分たちの国で開催と言うのもあって、モチベーションをすごく保てていたんじゃないかな。
だけど今回の日本みたいにベテランばかりが怪我をしてしまうと、どうしても不安が出てきてしまう。たとえば浦安だって、ケンタロウ(石田健太郎)がいない、タケ(本石猛裕)がいない、タクミ(長坂拓海)がいないとなったら、「これは難しいぞ」となるし。逆に相手は「チャンスだ」と思うでしょ?そこで「ベテランがいないから、もっと頑張ろう」となれればいいけど……。技術よりも、モチベーションが大きかったんじゃないかなと思います。
──経験豊富で、さらに1シーズンぶりに日本に来たロドリゴ選手目線で、今の日本にもっと必要なことは何かありますか?
うーん。でも、さっきも話したとおり若手のいい選手がいるから、その選手たちが今やっていることを続けていけば次のワールドカップは大丈夫。ペスカドーラ町田のショウト(山中翔斗)、名古屋オーシャンズのカイ(甲斐稜人)、しながわシティのアライ(新井裕生)……。僕も大好きな選手がたくさんいます。だから、4年後は絶対大丈夫、問題ないです。
目標は「25得点」
──改めてどんな思いでこの浦安に来たかを教えてください。
自分としてはたくさん点をとってチームを助けて、浦安でチャンピオンになりたい。塩谷社長も、優勝するために僕を呼んできたと思うし、僕もみんなと優勝したい。このチームには、いい選手だけでなく、経験のある監督やコーチがそろっているので、自分たちの力を信じて100パーセントの力を出せれば、その目標は叶うと確信しています。
──小宮山友祐監督とは現役時代にも対戦をしていると思いますが、同じチームになってみてどうですか?
小宮山さんは、日本に来た2012-2013シーズンの開幕戦で浦安と対戦した時から大好きだったけど、今はもっと大好きだし、もっとリスペクトしてます。選手のコンディションとか疲労にもすぐに気づいて、練習のメニューを変えたりもしてくれたり、選手の気持ちがよくわかる監督だからこそ、今何が必要かを考えて伝えてくれる。若い選手がミスをしても、すぐに怒るのではなく「次!次!」と声をかけるのは、すごく大切なことです。日本代表としてプレーした期間も長いので、「どうしたら試合に勝てるのか」をわかっている監督で、とても信頼できます。
──古巣である湘南との対決も楽しみですか?
ベルマーレのファンのことは大好きだし湘南との対決も楽しみ。だけど、自分はもう浦安の選手です。これまでお世話になったクラブへの感謝の気持ちは、浦安で活躍して浦安のために戦うことで見せたいし、ベルマーレの時と同じくらい浦安でも応援してもらえる選手になって、新しいヒストリーを作りたいですね。
──もう“浦安の男”ということですね。
そうです!この赤い浦安のユニフォームを着て、たくさん活躍したいですね。
──具体的に何点取りたいという、目標はありますか?
最後に日本でプレーした2022-2023シーズンは17得点かな?みんなにも協力してもらって、今シーズンは25得点取りたいですね!
難しいことはわかっているけど、毎日トレーニングをして試合への気持ちを高めて、最後の1秒まで戦い続けたい。僕が100パーセントの力を出すことが、このチームのためになるはずだと思っているので、頑張ります。
──最後にファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。
日本に戻るニュースが出た時に、「おかえり」と言ってくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。僕はよく、自分たち選手が車で、ファン・サポーターはガソリンだという話をしますが、ガソリンがなければ、車が走ることはできないし、チームが勝つためにも、みなさんの力が必要です。このバルドラール浦安アリーナでの開幕戦、ファン・サポーターの目の前で最高のプレーを見せてゴールを決めたいので、ぜひみなさん応援に来てください!
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