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作成日時:2024.09.28
更新日時:2024.09.28

【インタビュー】勝てば1位で上位リーグの天王山で敗戦。古巣相手に“強がり”ではなく貫いた「楽しんだら、勝つ」という信念(四井沙樹/SWHレディース西宮)

PHOTO BY伊藤千梅

女子Fリーグ初優勝を目指すSWHレディース西宮にとって、無敗で迎えたレギュラーシーズン最終節は、なんとしても勝利で終えたかったはずだ。しかし、昨シーズンの女王、バルドラール浦安ラス・ボニータスを相手に先制点を挙げながらも2点を返され、あと一歩が届かずに初黒星を喫した。

試合後、監督代行を務めた高橋美香コーチを始め、涙を見せる選手の姿を目の当たりにし、西宮がこの試合に懸けてきた思いの強さを感じた。しかし、一人の選手の表情が、“敗者”のそれではないように映った。

今シーズン途中からチームに加わった四井沙樹だ。

2018年に日本代表としてAFC女子フットサル選手権に出場した四井は、今年7月にスペイン1部のポイオ・ペスカマールから西宮へ加入した。スペインに渡った1年半でリーグ優勝を経験した彼女は、日本でもその実力を見せつけた。第6節のフウガドールすみだレディース戦から出場すると、素早い縦突破と150cmの身長ながらフィジカルの強さを発揮し、日本のトップ選手が集まる西宮でもあっという間に中心選手の一人になった。

「決めきれていれば、勝てました」

彼女にとって、スペイン挑戦前まで8年間所属した浦安との古巣対決。そんな相手に敗れた試合後に発する言葉は、たしかに悔しそうではある。それでもなお、彼女は「そんなに悲観することではない」と続けた。

その言葉が強がりではないことは、四井の話を聞いてすぐに納得できた。浦安時代、3連覇を遂げたメンバーとして積み重ねてきたもの、スペインのピッチでリアルに感じたこと、その経験を経て、西宮を選んだ理由。その一つひとつがつながって、彼女は今、フットサルを心から楽しんでいて、そしてその先にある勝利を信じているのだろう。

「楽しんだら、勝つ」

よどみなく告げるその言葉に、試合後、表情を変えずにじっと前を見つめていた四井の真意が詰まっていた。

インタビュー・文=伊藤千梅
編集=本田好伸



浦安戦の負けは悲観することではない

──レギュラーシーズン最終節を振り返っていかがですか?

正直、勝てた試合ではあったと思います。浦安はフィジカルが強く、走れるチームですが、自分たちもチャンスをつくれていました。ただそこで決めきれないことが自分たちの課題です。

──「勝てた試合」とはどんな部分で感じたのでしょうか?

シュートチャンスをつくれていたこともそうですし、まったく歯が立たなかったわけではなく、決めきれていれば勝てました。自分自身も、本当に点を取りたかったです。

──試合終了直後の四井選手の表情が印象的でした。

ファイナルシーズンに向けて1位で上位リーグに行きたかったですが、最後に優勝することが大事だと思っています。失点もしているし、負けているので、修正していかなければいけない部分はもちろんありますが、今日の試合は決して悪い内容ではありませんでした。だからそんなに悲観することではありません。

なので、私は試合直後から前を向いていました。浦安とはファイナルシーズンでもう一度対戦するチャンスがありますし、そこに向けてまた練習していくしかないので、切り替えていこうと思っています。



日本はスペインにも劣っていない

──四井選手は2023年にスペイン1部リーグのチームへ移籍しました。

最初は、スキルアップというよりは体験として海外に行きたいという思いがずっとありました。その後、浦安でリーグを3連覇して、連覇を目指すのもいいけれど、一度海外のチームで自分がどこまで通用するかチャレンジしたいな、と。そんな時にチャンスが巡ってきたので挑戦することに決めました。

──実際に行ってみてどうでしたか?

一番は、海外でプレーする時には言葉を覚えることが難しいと感じましたね。

──そうなんですね。

はい。プレー面で言えば、ブラジル人選手と対戦した時はうまいと思いましたが、個人的には足元の技術やフィジカルは通用したと思います。日本の女子フットサル界全体で見ても、スペインリーグには劣っていないと感じましたね。

──日本人選手でもやれる、と。

例えば、SWHがスペイン遠征に行って現地のチームと戦ったらおもしろそうですし、いい試合になると思います。スタッフさんにお願いします。スペイン遠征に行きたいでーす! お願いしまーす!

クラブスタッフ 6人だったらいいよ(笑)。

6人だったらいい!? じゃあ私が人選します(笑)。

──6人枠の取り合いになりそうですね(笑)。なぜ1年半で帰国されたのですか?

言葉の壁を感じたこともありますが、実は、このレベルであれば日本でプレーするほうがいいと思ったことが一番大きくて。日本って、いいですよね。ご飯が安い、うまい、温泉もあるし、平和。離れてみて、日本が好きだと改めて感じました(笑)。



初優勝してみんなでスペインへ?

──スペインから帰国後、7月に西宮へ加入しました。

SWHはパスで前進することが多く、人と人がつながるようなフットサルが魅力の一つです。個人の能力も大事ですが、私は全員で点を取ることが好きなので加入を決めました。

実際に今はすごくおもしろいし、楽しいです。入団させてもらえて良かったと思いますし、自分の決断は間違いではなかったと思っています。

──四井選手は初めからつながるフットサルを志向していたんですか?

フットサルを始めた頃はつながりというより、「よーいドン」で走って競るような選手でした(笑)。でもそればかりだと相手に対応されてしまうので、浦安時代に体の使い方やポジショニングを学びました。浦安で個人の能力を最大限発揮するフットサルを経験してプレースタイルも変わったと思います。

そうやってプレーを重ねていくなかで、人と人がつながってゴールに向かうフットサルが好きだと感じるようになり、徐々に自分の軸が定まったと思います。すべての経験が今に生きていると感じています。

──ファイナルシーズンは、リーグ初優勝に向けてどんな意識で戦っていきますか?

「みんなで楽しく」という言葉だけでは少し浮ついた感じになりますが、「楽しんだら、勝つ」と、本気で思っています。チームメイトはみんな上手なので、気負いすぎずに自信をもってプレーすれば結果はついてきますし、「みんなで楽しもうぜ!」と思っています。上位リーグでも楽しんで、優勝したいです。

リーグ初制覇と全日本選手権優勝の2冠を達成したら、みんなでスペイン遠征に行くぜ!!

クラブスタッフ だから、6人までね(笑)。

6人はいいんだ(笑)。これ、絶対に書いてくださいね(笑)。



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