更新日時:2025.04.29
初のアジア制覇と、初のW杯出場権獲得へ。須賀雄大監督「歴史を変える野心と強い気持ち、覚悟をもって挑みたい」【女子日本代表/インタビュー】
PHOTO BY伊藤千梅
2018年以来、7年ぶりの開催となるAFC女子フットサルアジアカップ中国2025まで2週間を切った。大会を直前に控えた日本女子代表は、4月24日から27日にかけて高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを行う。
5月6日に初戦を迎える本大会は、同年に開催される史上初のFIFA女子フットサルワールドカップフィリピン2025のアジア予選も兼ねており、3つのW杯出場枠を懸けて戦う。
アジア初制覇に向けて、そして日本の女子フットサルの発展をも懸けた世界との戦いへ向けて、どんな準備をして臨むのか。
初日のトレーニングを終えた後、須賀雄大監督に話を伺った。
取材=伊藤千梅
編集=舞野隼大
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強豪・イランとの対戦で見えた現在地
──今月の上旬にはタイ遠征を行い、「SAT Women’s Futsal Championship 2025」に臨みました。優勝という結果を収めましたが手応えはいかがでしたか?
(0-0の引き分けでしたが)イランと試合ができたことは非常に大きかったですね。前回と前々回のアジアカップで優勝しているイランがどういったレベルなのか肌で感じることもタイ遠征の一つの目的でした。そのなかで自分たちの強みだったり、さらに(レベルを)上げていかなければいけないポイントが明確になった、非常にいい機会になったと思います。
その後のタイ戦(〇6-1)とウズベキスタン戦(〇8-0)に関しては、なるべく多くのゴールを必要としている局面で選手たちがしっかりとそれに応えてくれました。点差を見れば簡単な試合に見えるかもしれませんけど、非常に難しいゲームでした。そういった困難を乗り越えられたことも良かったと思っています。
──どんなところで難しさを感じましたか?
イランの個人技や基礎技術、ファンダメンタルは非常に高いなと思いました。そういった選手たちに対抗するために自分たちはシンプルな1対1に負けないことはもちろん、グループとして攻守両面で戦っていくことが求められます。そんななかで個々で通用する選手は多かったですし、グループで戦うことによってより優位に試合を進められるなという手応えも感じました。
そして、これはアジア全体に言えることですけども特にイランはトランジションが非常に速かったので、いい形で攻め終わらないと非常に質の高いカウンターが待っている危機感も強くなりました。いい攻撃の終わり方をすること、腰が引けない戦い方をすることも大事だと思う。そういう意味では自信をもつところ、いい意味で臆病になるところ、どちらも兼ね備える必要があるんじゃないかと感じています。
日本の次のフェーズは、アジアカップ優勝
──5月6日から始まるAFC女子フットサルアジアカップのメンバーを選ぶ上で大事にされたことはありますか?
日本の女子フットサル界には素晴らしい選手がたくさんいて、非常に難しい選考になりました。私が監督になってから積み上げてきたものを意識していて、その中心にいる選手たちが一つのグループとしてあります。もう一つは、近年のリーグで非常に活躍をして力をつけてきている選手というグループもあるなかで、日本女子代表の戦い方に一番フィットできる14名を選びました。
今大会は怪我人が出てしまった時にメンバーを追加招集することができないので、(アクシデントが起きてしまった時に)アジアを相手に決勝までの6試合を戦い抜けるという観点からもメンバーを選びました。
──アジアの代表チームを相手にした時にポイントになることは?
アジアはプレッシングしてくるチームよりも、引いて守ってくるチームが多いので、そういった相手を崩し切ることがポイントになります。そういう意味では、プレス回避の局面でパスワークが巧みな選手が大事になりますけども、そういった選手だけでなく相手コートに押し込んで相手ゴールをこじ開けるようなシチュエーションも必要になってくると思います。メンバーに関しても、そういった配分を見て選んでいます。
──グループステージではタイ、インドネシア、バーレーンと対戦します。それぞれのチームの印象はいかがですか?
タイもインドネシアもバーレーンも、同じアジアの大会に参加したことがありますけど、大枠のイメージはあります。どのチームも非常にエネルギッシュで団結力のあるいいチームだと思いますけど、タイは前回の試合で第1ピリオドでは同点で非常に苦戦しました。イランと同じかそれ以上のフィジカルをもった選手もいますし、プレシーズンを終えた彼女たちがコンディションをさらに上げて来られるとすごく手強いんじゃないかと思います。
そしてインドネシアは、縦へのスピードと個人技をもった選手を気をつけなければいけません。バーレーンに関しては、自分が戦った試合ではいいフィクソの選手がいて、外からシュートをどんどん打ってきていたので個々の能力というのは非常に高いと想定しています。定位置守備もしっかりと設定していかないと苦しむ可能性はあると思います。
──今回のアジアカップは史上初の開催となるW杯にも続いています。最後に意気込みを教えてください。
まずはアジアカップを優勝することが、日本が次に進まなければいけないフェーズだと思っています。歴史を変える野心と強い気持ち、覚悟をもって挑みたいです。そして、W杯に出場することも新しいページを開くことになりますし、そこはノルマだと思っています。絶対にこのスポーツを前進させるためにも、W杯に出場しなければいけない。そういう強い気持ちを全員がもっているので、そういった気持ちをピッチでしっかりと表現するために、残りの期間も抜かりなく準備していきます。
■AFC女子フットサルアジアカップ中国2025日程
5月7日(水) | 21:00(現地時間:20:00) | グループステージ第1戦 vs フットサルインドネシア女子代表 |
---|---|---|
5月9日(金) | 15:00(現地時間:14:00) | グループステージ第2戦 vs フットサルバーレーン女子代表 |
5月11日(日) | 21:00(現地時間:20:00) | グループステージ第3戦 vs フットサルタイ女子代表 |
5月13日(火) | 15:00(現地時間:14:00) 12:00(現地時間:11:00) 18:00 (現地時間:17:00) |
準々決勝 グループC1位の場合 グループC2位の場合 グループC3位で突破した場合 |
5月15日(木) | 18:00 or 21:00(現地時間:17:00 or 20:00) | 準決勝 |
5月17日(土) | 18:00 or 21:00(現地時間:17:00 or 20:00) | 3位決定戦 or 決勝戦 |
<日本女子代表>インタビュー
- 須賀雄大監督
初のアジア制覇と、初のW杯出場権獲得へ。「歴史を変える野心と強い気持ち、覚悟をもって挑みたい」
“真面目”に戦い続けたベトナム戦で得たもの。「自分たちにはボールに対して5人で守るという秩序がある」 - 井上ねね
競技転向から6年、たどり着いた自身初のアジアカップ。「すべてを投げ打ってでもW杯への切符をつかむ」 - 伊藤果穂
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