更新日時:2025.04.30
“真面目”に戦い続けたベトナム戦で得たもの。須賀雄大監督「自分たちにはボールに対して5人で守るという秩序がある」【女子日本代表/インタビュー】
PHOTO BY伊藤千梅
2018年以来、7年ぶりの開催となるAFC女子フットサルアジアカップ中国2025まで2週間を切った。大会を直前に控えた日本女子代表は、4月24日から27日にかけて高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングキャンプを行う。
5月6日に初戦を迎える本大会は、同年に開催される史上初のFIFA女子フットサルワールドカップフィリピン2025のアジア予選も兼ねており、3つのW杯出場枠を懸けて戦う。
25日に行われたベトナム代表とのトレーニングマッチは4-1で勝利。アジアカップ本番へ向けて順調に強化が進んでいることを印象付けた。
トレーニングマッチ終了後、須賀雄大監督に話を伺った。
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非常に収穫が大きな試合になった
──ベトナム代表とのトレーニングマッチは4-1で勝利しました。今日の試合の内容、結果を振り返っていただけますか?
ベトナムは非常にエネルギッシュで、守備の秩序もあって、良いチームだなと。スカウティングの際にも同様の印象がありましたが、実際に試合をやってより感じました。サッカーのアンダー世代の代表に選ばれていた選手が何人もいるという話も聞いていましたし、そういった相手に3点差をつけられて勝てたということは、うれしく思っています。
──立ち上がりでポンポンとゴールが決まる、いわゆる楽な試合にはならず、先制するまでは拮抗した時間が続きました。
自分たちにはボールに対して5人全員で守備をする、ボールライン(ボールがある高さ)まで戻るという守備の秩序があります。今日の試合に関していえば、もしかしたら、守備時に全員が下がるのではなく、前に選手を残して、相手のミスを待ってカウンターを狙ったほうが、スコアにつながったかもしれません。
ただ、それ以上にスペイン、ブラジル、ポルトガル、イランといった世界の列強と戦うことを見据えてプレーモデルをつくっています。しっかりと守備から入って、自分たちがやるべきことをやる。それが今のチームにとって大事だと思っているので、早い時間にゴールが決まらなかったことはまったく気にしていません。
──今日の試合には追野沙羅選手と松木里緒選手が怪我の影響で出場を回避しました。もともと想定していたセットが組めない状況だったかと思いますが。
はい。リプランニングを試合直前にする必要がありました。ポジティブにとらえると、今日も複数のポジションをやった選手がいたり、新しいセットの噛み合わせを試したりできました。さらに、その新しいセットでスコアを動かせた。非常に収穫が大きな試合だったと思っています。
※4月26日、松木が怪我のため離脱となり、池内天紀が追加招集されることが発表された。
誰がゴールを決めるかは大きなテーマではない
──さまざまな組み合わせを試す中で、ピヴォの筏井りさ選手と江川涼選手を同時に起用する攻撃的セットもありました。
かなりチャレンジングなセットだったのですが、江川は複数のポジションをこなしていますし、今日はピヴォ、アラ、フィクソとすべてのポジションでプレーしてくれました。フットサル歴が長いですし、IQも高い。何よりも本人が前向きにやってくれていることを踏まえて、新しいタスクを与えているという状況です。
──4点差がついた後、ピヴォを置かない、いわゆるクワトロのセットの時間帯もありましたが、今日の試合で試した意図は?
スコアが開いてきた中で、ピヴォは接触が多いポジションなので、怪我をしてしまうリスクも考えました。また、本大会の中でピヴォを休ませなければいけない状況もあるかもしれません。相手の強度が下がってきた時間帯でもあったので、ボールをポゼッションしながら背後をとるということをリクエストしました。
──エースの筏井選手が3ゴールを挙げたことは、チームにとってはどのような意味を持ちますか?
もちろん、筏井にとって自信になる、そういうゲームだったと思います。一方で、そのプロセスとしては多くの選手が関わっています。14人が決まった時点で、誰が点を取るかということよりも、チームとして目の前の相手に勝つために点を取っていくことが大きなテーマです。全員でセレブレーションをして、良い雰囲気だったと思います。
──最終日の4月27日(日)にバルドラール浦安ラス・ボニータスとトレーニングマッチを行って、開催地の中国へ出発します。
浦安からは日本代表に多くの選手が選ばれていますが、全日本選手権のチャンピオンチームですし、良い選手がたくさんいます。緊張感のある、強度の高い試合になるはずです。
■AFC女子フットサルアジアカップ中国2025日程
5月7日(水) | 21:00(現地時間:20:00) | グループステージ第1戦 vs フットサルインドネシア女子代表 |
---|---|---|
5月9日(金) | 15:00(現地時間:14:00) | グループステージ第2戦 vs フットサルバーレーン女子代表 |
5月11日(日) | 21:00(現地時間:20:00) | グループステージ第3戦 vs フットサルタイ女子代表 |
5月13日(火) | 15:00(現地時間:14:00) 12:00(現地時間:11:00) 18:00 (現地時間:17:00) |
準々決勝 グループC1位の場合 グループC2位の場合 グループC3位で突破した場合 |
5月15日(木) | 18:00 or 21:00(現地時間:17:00 or 20:00) | 準決勝 |
5月17日(土) | 18:00 or 21:00(現地時間:17:00 or 20:00) | 3位決定戦 or 決勝戦 |
<日本女子代表>インタビュー
- 須賀雄大監督
初のアジア制覇と、初のW杯出場権獲得へ。「歴史を変える野心と強い気持ち、覚悟をもって挑みたい」
“真面目”に戦い続けたベトナム戦で得たもの。「自分たちにはボールに対して5人で守るという秩序がある」 - 井上ねね
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