更新日時:2025.07.05
痛恨の敗戦から中5日、選手の目線をそろえさせる指揮官の“喝力”とは。しながわ・比嘉リカルド監督「喧嘩してでも『満足しない、満足しない』と要求し続ける」【F1第6節|インタビュー/しながわ】
PHOTO BY伊藤千梅
【メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1】しながわシティ 5-3 フウガドールすみだ(7月4日/駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場)
7月4日、メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1の第6節が行われ、しながわシティとフウガドールすみだが対戦。しながわは5-3で勝利を収めた。
第1ピリオドに新井裕生の2得点で先行するも追いつかれ、第2ピリオドも笠篤史のゴールで勝ち越しながら、またも追いつかれる苦しい展開のなか、セットプレーから新井のハットトリックとなるゴールで再びリードし、最後はサカイ・ダニエル・ユウジのパワープレー返しで追加点挙げて逃げ切った。
今シーズン、ここまでの6試合で、勝っては負け、連勝しては負けという“不安定さ”も見せるなか、指揮官は常々、選手たちに“喝”を入れ続けている。その真意とはなにか。試合後、比嘉リカルド監督に話を聞いた。
前向きで、気持ちをそろえて戦えた
──競り勝ったゲームでした。
前節の北九州戦は、悪い試合はしていないですけど、ちょっと“ぬるかった”ですね。相手に勝てると信じてしまったから最後の(残り7秒で決勝点を許して敗れる)結果になったと思います。
ただ、今日のパフォーマンスや気持ちの部分は、相手が強かったから、負けていたとしても、良かったと言えるような内容でした。本当に良かったです。いい試合をしていたし、相手もすごいフットサルをしてきたので、今日の勝ちが(この先)もっと大きなものになってくると思います。この辛い展開、相手もいいフットサルをしてきたというなかで、その相手を倒して結果を出せたことがすごく良かったです。
──連敗しなかったことも大きい。
それもありますね。連敗よりも僕らはチームメイトが同じ気持ちで、戦うことが課題でした。相手も速いですから、それに対抗するために分析してきたいろんな戦術もありました。ただそれ以上に、チームとして戦わないと負けてしまう。本当は最後まで苦しみましたし、簡単なミスもありましたけど、それでもみんな前向きで、気持ちをそろえることができたことが良かった。前節の負けは本当に悔しかったと思います。だから、連敗しないように気持ちを高めて臨めましたし、そして結果を出せたことが大きいと思います。
──新井裕生選手が、元フットサルブラジル代表の伝説的なストライカー、レニージオのようでした。
そうですよね。活躍してますよね。去年はチームの得点王でしたけど、選手が高いパフォーマンスを残し続けることは本当に簡単なことではありません。
──この数年は、シーズン終盤に点を取っていたものの、序盤はそれほど取っていない印象もありました。
そうなんですよ。昨シーズンは優勝できなかったことで、それよりもすべてのことにおいてもっとやらないといけない、と。フィジカルも、ゴールも、ディフェンスも、自分の欲求もそうだし、分析もそうだし、みんな一人ずつがもっとやらないと、去年、足りていなかったことを、またできなくなる。満足してしまってはシーズンで優勝はできない。そういうことを伝えてきているので、(結果を出し続けてくれて)良かったです。
──新井選手は、今日はパワープレーの守備には入っていませんでした。
(山田)凱斗や(中村)充もディフェンスを練習をしているので。(パワープレーの守備はチームとして)課題でもあります。いつでも誰でも出られるように。マサ(平田・ネト・アントニオ・マサノリ)も少し膝の痛みがあることで、長く守れるメンバーにするということで、足が速い凱斗や充などを使いました。(新井が守備に入らなかったことは)特別な理由があるわけではなく、長い時間の守備をするだろうということでの選手交代でした。
──名古屋戦の後に、連勝したものの「成長できているかはまだわからない」と。次に勝たないと、と。そこで次の北九州戦には負けてしまいました。選手にはどんな話をしてきたのでしょうか。
意識の部分ですね。(町田と名古屋に勝つという)デカい山を乗り越えて、そこで楽にしてしまうのが人間というものではありますけど、そこは自分たちの一番の課題です。自分はそこで選手と喧嘩をしてでも要求し続ける。「満足しない、満足しない」と。選手も、僕のそういうやり方を理解してもらう必要があります。
満足してしまうと、またゆるくなって、コケてしまうんです。今日のすみだは、前節、長野に負けたんですよね。長野はすごくいい試合をしていて、めっちゃ走っていました。ただ、すみだも弱いチームではありません。
そこで自分たちは、長野に負けたチームだからと、ゆるくしたらダメ。いつも同じ気持ち、同じ意識で戦わないと。戦うのは、1回の試合だけじゃない。毎日の練習。一番大変なのは、毎日意識を保ち続けることです。
──今シーズンは混戦ですよね。
それこそ、自分たちが先週負けてしまいました。それは僕らだけではなく、浦安もそうですよね。名古屋はすみだに負けましたし、ある意味で“バランス”が取れてきている。「名古屋には(相性が)合うかもしれない」としても、他のチームは合わないかもしれないとなった時に、相手に対してどんな合わせ方をするのか、どんなゲーム運びをするのかが大切だと思います。
今日の自分たちのディフェンスは、“4-0システム”の相手に対して、最初はラインを上げて裏を取られたりとかもありましたけど、後半はテンポライズできてプレッシャーにいけるなど、タイミングをうまく選んでプレーすることができていました。ただそれを“3-1システム”のチームに対してもっといけるのか、もっと下がるのか、それは名古屋戦では、後半はハーフで守って相手にボールを持たせることができました。
今日は前半にダメだったところをうまく修正できましたし、ストロングポイントになる部分を、毎試合つくれるかどうか。どのポイントで誰を使うのか。そういうところです。選手は一人ひとりキャラクターが違います。一人のキャラ、他の選手のキャラ、また別の選手のキャラと、それを合わせることが難しいんです。そこを、チームにとって、相手チームにとって、というポイントを考えながら合わせていく。練習でも試合でもそうですけど、この間はこのやり方が多かったから、次は変化させていく。常にそういう意識をもってやっていきます。