更新日時:2025.10.22
【日本代表】衝撃のバイシクル弾。ブラジル相手に2得点の輝きを放った新井裕生「真上にボールが上がったので“いける”と思った」
PHOTO BY伊藤千梅
フットサル日本代表は10月17日と19日、国際親善試合でフットサルブラジル代表と対戦。第1戦は0-4、第2戦は2-3で敗れ、歴史的初勝利はおあずけに。健介ジャパンにとって、2024年8月の始動以来、初の国内での試合は厳しい結果となった。
新井裕生は19日に行われた第2戦で躍動。中村充、山田凱斗、堤優太との“しながわセット”(堤は元しながわ)で徐々にペースをつかみ始めると、0-3で迎えた17分、セットプレーのこぼれ球を押し込み日本に待望の得点をもたらした。さらに終盤の39分には1点差に迫る豪快なバイシクルシュートを決めてみせた。
試合は2-3で敗戦したものの、ブラジルから2得点を挙げた新井は試合後、何を感じていたのか。そこには飽くなき向上心が隠されていた。
取材=北健一郎
編集=柴山秀之
成長した部分を見せられた
──試合を振り返っていかがですか?
悔しいです。金曜日の試合から強い気持ちをもって臨みましたが、立ち上がりの3失点が重く、熱い気持ちと冷静な部分のバランスが取れていなかったのかなと思います。
気持ちだけでどうにかできる相手ではないですし、クオリティをもって臨まないといけなかったと思います。
──それは失点のところで?
失点もそうですし、試合をつくる上での、守備の部分です。
ただがむしゃらに1人が強くいけばいいということではなくて、4人で相手のパスコースを限定して、狭いほうに追い込んで取り切るというところ。世界でもトップレベルの選手たちですし、決して1対1だけでどうにかなることではないので、4人で連動して守っていかなきゃいけなかったのかなと思います。
──自身の2得点を振り返っていかがですか?
昨日、寝る前に「明日は点を取れるかな」と思っていました。その感覚がゴール前で生きて、体が動きました。
国内の代表戦は初めてでしたし、次があるかもわからないなかで、多くのサポーターの前で点を決めることができたのは、すごくうれしいです。
家族のみんなも見に来てくれましたし、その前でゴールを決めることができたのは、僕の中でも一番大きな部分です。
──あのバイシクルシュートはすごかったですが、何かのゴールシーンを試合前に見ていたとか?
特にないですね。真上にボールが上がったので「いけるな」と思って。そしたらゴールに入っていましたね。
──ゴール直後の心境は?
試合時間があと1分ちょっとあったので、「サポーターの力も借りて追いつくぞ。逆転するぞ」という気持ちがもっと出てきた感じです。
──最後にもワンチャンスありました。
相手もそこはさすがに必死に守ってきました。それをこじ開けるとなると、もう少しアイデアが必要だったのかなと思います。
──近くにいたサポーターの後押しも大きかったのではないでしょうか?
金曜日の試合から、「裕生決めろ!」という声がすごく聞こえていました。みんなから期待されていると感じましたし、自分が決めて勢いをもたらすことは持ち味でもあるので、それを意識した結果が出たのかなと。
──新井選手にとって静岡は思い入れのある場所だと思います。その地での代表戦でブラジルから2ゴールを決めました。
アグレミーナ浜松でデビューしたシーズンは0得点でした。なので、静岡の地で世界王者から2点を取れたことはすごくうれしいですし、あの頃を知っている人たちからしたら、本当に驚きなんじゃないかなと。成長した部分を見せられたと思います。
──立川アスレティックFC、しながわシティに移籍して、ここまで成長し続けられる要因は何だと思いますか?
立川の時は名古屋で3連敗して「これが本物のプロか」と見せつけられました。そしてしながわに行くタイミングでもアジアカップで現実を突きつけられていました。
そのアジアカップの前にもポルトガル代表との試合がありましたし、「常に上を」という向上心をなくさずにいます。どれだけ所属チームで試合に出ていようが、いつ代表の活動が最後になるかわからないですし、常に上を目指さないと、この場所には入れません。
そういう向上心が自分の成長につながっているのかなと思います。
──新井選手のセットでは流動性が出てきて、深いポジションを取って起点にもなっていました。それまで前進できない時間帯が続いてましたが、どういう狙いがありましたか?
僕はアラでもピヴォでもプレーができますし、左利きのピヴォに関しては他のセットにはない優位性があります。そこで普段一緒にプレーしている(山田)凱斗や、(中村)充とは事前に話し合ったので、狙い通りのパスがきて、しっかり仕事をすることができました。
──そこから流れが変わったと思います。結果的に負けてしまいましたが、1点差まで迫ることができました。
そこまで追いつけたことはポジティブですが、立ち上がりが課題になります。3失点した後の守備強度や攻撃のクオリティを吉川(智貴)選手が言ったみたいに標準にして、さらにステップアップしたいです。
アジアではタイやイラン相手に点を取ることにつながりますし、アジアカップでは、相手が引いてくる可能性もあります。いろいろなシチュエーションを考えてやっていかないといけないと思います。
──この試合ではフットサルのおもしろさを見せられたのではないでしょうか?
初めてフットサルを見る人からしたら、ブラジルのプレーもすごくおもしろいプレーだったと思います。僕たちは決して技術だけではない、球際や激しいプレッシングからの得点という部分で、すごくフットサル味が詰まった試合だったのかなと思います。
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