更新日時:2025.11.13
異国での挑戦を経て、横浜へ。清水誠也が語る移籍の真意「必要とされる場所で、もう一度勝負したかった」

PHOTO BY伊藤千梅
【メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1】Y.S.C.C.横浜 2-1 バサジィ大分(11月9日/横浜武道館)
11月9日、メットライフ生命Fリーグ2025-26シーズン ディビジョン1の第16節が行われ、Y.S.C.C.横浜とバサジィ大分が対戦。横浜は2-1で勝利を収めた。
インドネシアの地で過ごした1年を経て、清水誠也が再び日本のピッチに帰ってきた。昨季途中にフウガドールすみだから異国へと渡り、そして今夏、Y.S.C.C.横浜への電撃加入。順位が伸び悩んでいたチームに加わった理由は「挑戦」そして「覚悟」だった。
海外で得たタフさと、自らの力で道を切り開く決意。31歳のピヴォが今、もう一度自分自身に勝負を挑んでいる。
「自分でつかむしかない」帰国後に見えた現実

インドネシア・プロリーグのコスモJNEでの挑戦を終え、清水が日本に戻ってきたのは7月末のことだった。しかし次の所属先は決まっていなかった。海外シーズンがずれ込み、各国の契約スケジュールが乱れていたため、帰国後も行き先が定まらない時間が続いたという。
「日本で体を動かしながら、いろんなチームに当たっていたんですけど、なかなか決まりませんでした。代理人もいないので、全部自分で連絡して。顔見知りの選手を通して話をさせてもらったりしていました」
日本フットサルにおいて、“途中合流”は容易ではない。古巣のフウガドールすみだにも打診したが、タイミングや体制の問題で契約には至らなかった。
「日本は4月にシーズンが始まって、翌年の3月まで続きます。基本的にシーズンを通して戦うメンバーが決まっているから、途中から入るっていう文化がほとんどありません。既存の選手への配慮もありますし、厳しい現実を感じました」
それでも清水は自ら行動し、一つひとつのチームに丁寧にアプローチしていった。その中で縁が繋がったのが、Y.S.C.C.横浜だった。当時の横浜は12チーム中11位と、誰が見ても苦しい状況だった。しかし清水はそのチームを選んだ。理由は明快だった。
「正直、順位表だけではわからない。どのチームも一つ勝てば順位が入れ替わるような接戦でした。最下位のチームでも、自分の価値を証明できると思ったし、海外で得た経験を日本でも結果で示したかった。順位は関係なく、必要とされる場所で、もう一度勝負したいという気持ちが強かったんです。だからこそ、このタイミングで横浜に入ることに迷いはありませんでした」
決め手となったのは、鳥丸太作監督の存在だった。フウガドールすみだ時代に指導を受けたことがあり、そのスタイルも理解している。
「トリさんに話したら、すぐに動いてくれたんです。2日後にはある程度形になっていて、本当に助かりました。チームにもすぐ馴染めたし、違和感なくプレーできています」
清水は第15節のしながわ戦に出場すると、チームは1点差で敗れたものの、加入後初ゴールを決め存在感を発揮。続く大分戦では決勝点を挙げ、今シーズンのホーム初勝利に大きく貢献した。
「今の自分にできるのは、結果を出すことだけ。ゴールを取ってチームを引っ張る。それが監督からも言われている役割です。守備でも攻撃でも、自分の強みを出し続けたい」
「個人で結果を出す」──その言葉を体現するかのようなスタートだった。
インドネシアで得た“タフさ”と、次への覚悟

異国での1年は、清水にとって挑戦であり、同時に大きな学びの時間だった。インドネシアのリーグは勢いこそあるものの、環境面は日本とは大きく異なる。食事や水、施設の状況、気候、移動手段──日々の生活そのものが“慣れ”を必要とした。
「インドネシアでプレーして、日本がどれだけ素晴らしい国かを改めて感じました。インフラも、食事も、生活もまったく違う。試合の移動も大変で、3週間家に帰れないこともありました(笑)。電車は基本的に鈍行で、島から島の移動は飛行機。スケジュールも読めないことが多かったです」
ただし、その環境は清水を確実に強くした。衛生面や食事の選択肢が限られても、自分で体調を管理する術が身についた。移動の負担があっても、試合に合わせてコンディションを上げていく感覚も磨かれた。
「どんな環境にも適応できるようになったし、タフになりました。日本に戻ってきて、『ここなら何でもできる』という感覚は正直あります。1年間でそこは大きく変わりましたね」
海外での不自由さは、清水にとって引き出しを増やす時間だった。そして、今見据えるのは代表の舞台。31歳という年齢を自覚しながらも、最後のワールドカップへの希望は消えていない。
「次のワールドカップが、僕にとっては最後のチャンスだと思っています。そこに行くためには、個人で結果を出すしかない。だからこそ、この横浜で勝負する覚悟をもってきました」
最下位からの挑戦。そこにはリスクよりも、むしろ手応えを感じる余地がある。新天地・横浜で必要とされる役割は、ゴールでチームを救うこと、そして若い選手たちに経験を伝えることだ。
「僕は、今チームで一番年上に近い立場。だからこそ、経験を伝えていく責任も感じています。海外や日本での経験をシェアして、チーム全体が成長できるようにしたい。」
そのためにまず、自分自身が結果を残す。積み重ねたものをピッチで表現しながら、周囲へも還元していく。31歳になった今、そのバランスを大切にしながらプレーしている。
「結果で示すしかない。その先に代表が見えれば理想ですけど、今は目の前の一戦に集中したいです」
清水誠也の挑戦が、横浜の力となり、そして自身の未来へとつながっていく。
▼ 関連リンク ▼
- 【2025-26最新情報】Fリーグ ディビジョン1|試合日程・結果・順位表|会場・チケット情報|放送予定|FリーグTV
- 町田が5得点&完封で5試合ぶり白星!首位・名古屋&2位しながわが手堅く連勝、大阪は上位リーグ進出に弾み【F1第15節|試合結果&順位】
- 好調すみだが7-0の大勝で4連勝&3位浮上!首位・名古屋が浦安に快勝、大阪が4試合ぶり勝利【F1第14節|試合結果&順位】
- 名古屋一筋17年、35歳のレジェンドGK・篠田龍馬が今季限りでの現役引退を発表「このチームがいるべき場所に必ず戻れるように最後の日まで全力で戦います」
- これぞ魔術師!元ポルトガル代表・リカルジーニョが見せた異次元プレーの連続にファン絶句「すべてがエグすぎる」「誰が止めるねん」














