更新日時:2026.02.12
大一番で殊勲の同点弾も今季限りで引退。25歳・斉下遼音がフットサル界を去る理由「人生は一度きり」【女子第16節|インタビュー/浦安vs西宮】

PHOTO BY伊藤千梅
【メットライフ生命女子Fリーグ2025-26】バルドラール浦安ラス・ボニータス 2-3 SWHレディース西宮(2月8日/バルドラール浦安アリーナ)
2月8日、メットライフ生命女子Fリーグ2025-26シーズンの第16節が行われ、バルドラール浦安ラス・ボニータスとSWHレディース西宮が対戦。首位の西宮と勝ち点3差で2位の浦安、ファイナルシーズンの最終戦が優勝決定戦となるなか、西宮が2点のビハインドをはね返して3-2で勝利。Fリーグ女王が連覇を達成した。
1-2のビハインドで迎えた28分、緊迫した展開の中で泥臭くゴールへ迫ったのが斉下遼音だった。得意のポストプレーを意識して生まれた同点弾は、西宮に流れを引き寄せ、チームをリーグ連覇に導いた。
殊勲の輝きを放った斉下は、すでに今シーズン限りでの現役引退を発表。「フットサルを続けるならSWHがいい」とまで語る彼女はなぜ、このタイミングでシューズを脱ぐことを決めたのか。連覇を達成した直後にありのままの思いを聞いた。
取材=伊藤千梅
編集=柴山秀之
もっと自分の視野を広げたい

──今の気持ちを聞かせてください。
今は、シンプルにホッとしている気持ちが強いです。
自分たちがやることをやり抜けば絶対に勝てると思っていたんですけど、相手も強いチームなので、どれだけ自分たちのペースでやれるかみたいなところも考えながらプレーしました。それでも結果を出すことができて良かったです。
──うれしいというよりはホッとする気持ちが?
もちろん、うれしさもあります。試合が終わった時はすごく騒ぎましたけど。今はちょっと疲れがきていて「あ、良かったな」くらいの落ち着きですね(笑)。
──今日の同点弾を振り返っていただいてもいいですか?
自分のマッチアップがフィクソの選手ではなかったので「チャンスだな」と感じていました。普段からフィクソじゃない人とマッチアップする時は、基本的には自分が勝負すると決めているので。
その時は体を張って待っていたら、追野沙羅が綺麗なパスをゴール前に出してくれました。沙羅はいつも自分のところを見てくれているので、それがハマったかなと思います。

──ゴールを決めた時は、意外と喜びを抑えてたように見えました。
正直、背負うことに集中していたので、何が起こったかがわからなかったんです(笑)。自分のほうにボールが来て、目の前でババンッとなって、気づいたら入った感じでした。
なので、意図してあそこに打ったかと言われるとそうではなく、ボールが運良くそっちにいってくれたので、びっくりのほうが最初は大きかった感じです。
──西宮の選手からは引き分けではなく、勝ちに行く姿勢を感じました。どのような意識で試合に臨みましたか?
基本的に引き分けは狙ってなくて、最初から勝利して優勝する気持ちしかありませんでした。最後はパワープレー返しでしたけど、それで実って良かったです。
──では、同点弾のタイミングでも「ここからだ」と?
そうですね。同点弾を取って引く気はまったくなくて。自分らのペースにもなっていたので、「ここからどれだけ自分らが点を取れるかだな」と考えていました。
──今日は相手が引いて守る時間も長かったですが、それに対してのもどかしさはありましたか?
浦安と対戦する時はこれまでも引いてくることが多かったので、予想はしていました。ただ相手はホームだったので、「引くのか」という気持ちもありました。
それでも、自分らは引き分けでも優勝できる状況だったので、相手が引いた時は、落ち着いてボールを回しながらどこかのチャンスで決めればいいよねというスタンスでいました。同点の時に点を取られるほうがキツイので、ソワソワ感もありましたが、割と落ち着いて様子を見ながらプレーができたと思います。
──今日のパフォーマンスを見ていると「本当に引退してしまうの?」と感じる人も多いと思います。やはり引退の決意は変わらないでしょうか?
そうですね。大雑把な言い方になりますけど「人生は一度きり」なので。仕事をしながらフットサルをしている状況でもあるので、まだ若いうちに、自分が思ったように後悔しないように生きられたらなと思っています。
──これからは仕事に重きを置こうと?
私は人生を3年スパンで考えていて、前のチームの立川も3年で移籍しています。1年目はどこに行っても苦しくて、それを乗り越えて頑張る2年目にスランプに陥る。3年目でそこを抜けて楽しくなってくる。そうすると、自分の性格的に4年目から慣れが出てきてしまうところもあります。
人生は一度きりなので、自分がどう成長していくか。フットサルが終わった後の人生のほうが長いので、ずっと刺激受けられるような生き方がしたいなと思っています。
──具体的にやることは決まっているんですか?
それがまだ決まっていないんですよ(笑)。行き当たりばったりで生きてきたので、落ち着いてから考えます。
でも、これまでフットサルに懸けてきたからこそ、できなかったこともたくさんあります。たとえばですが、練習があるから海外旅行に行けない、とか。もっと自分の視野を広げたいんです。世界を見て、いろんなものを感じて、自分がどう思うかですね。
仕事もそうですし、いろいろなことにチャレンジして、自分が本当にやりたいことが何なのかを見つけたいと思っています。それがもしかしたらフットサルかもしれないですし、そうなったら恥を忍んで帰ってこようかなとも思っています。
──復帰の可能性も、なしではないと。
フットサルが嫌いになったわけではなくて、今もすごく楽しいです。ただ、自分がもっと人間として成長するためにという感じですね。
──ファン・サポーターのみなさんは帰ってくるのを待っていると思います。
フットサルは大好きですし、プレーしていておもしろいです。それこそフットサルを続けるならSWHがいい。日本で一番おもしろいフットサルをするチームだと思っているので。
辞める決断をしたのも監督は受け入れてくれてますし、悔いのないように生きていきたいです。
──最後に選手権への意気込みをお願いします。
選手権で負けてしまうと「もっとちょっとやりたかった」と未練が出てしまいそうなので(笑)。悔いなく辞められるように、最後は優勝してみんなで楽しいフットサルをして、クラブ初の2冠を取れるように頑張ります。

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