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偉大な2人の先輩を超えていけ。“F選抜1期生”三笠貴史が迎える飛躍の時。

PHOTO BY軍記ひろし

リーグ序盤で早くも訪れた正念場

先輩から学び、吸収することはもちろん大事だが、そう悠長なことばかり言ってはいられない。すみだに戻って1年目。三笠自身、選抜でどれだけ成長して帰ってきたかが問われる重要なシーズンだ。経験豊富な2人に割って入り、ポジションを確立しなければならない。

開幕戦と第2節、三笠は3rdセットのフィクソとしてピッチに立った。だが3rdセットである以上、出場時間は決して長くない。

「ずっと“3rdセットのフィクソ”という立ち位置では出場時間も限られてしまいます。かといって、2人を完全に上回って1st、2ndに入るのは、現実的に考えて今すぐには難しい。そのなかで、2人のどちらかと同時に出るタイミングが、長いシーズンのどこかで必ずくるはず。そこで何を残せるかが勝負だと思っていました」

その勝負のときは、三笠が予想していたよりもずっと早く訪れた。第2節のバサジィ大分戦後、練習内の紅白戦で諸江と同時にピッチに立つことが多くなったのだ。

「練習の感じだと、これは次の試合で(同時出場が)あるかなと。思ったよりも早く正念場がきたなと思いました」

そして迎えた9日(日)のアウェイ・町田戦。前半途中から、三笠は諸江とともにピッチに立った。基本は諸江がフィクソ、三笠がアラに入る布陣だったが、何度か三笠が最後尾に回る時間帯もあった。この1年の真価が問われる、勝負の時間だった。

三笠はフィクソとして持ち前の守備力を存分に発揮した。Fリーグ選抜で1年間試合に出続けた実戦経験が着実に力となっていた。“キング・オブ・Fリーグ”森岡薫に背負われた場面でも、ただ後ろに付いて待つのではなく、三笠の方からガツガツ押し返しながらボールを絡め取る機会をうかがった。

「反転してきたところでシュートブロックするよりも、反転すらさせない勢いで押し返して絡め取るディフェンスができた方がピヴォは嫌がる。そこは選抜の1年間でストロングにした部分です。1シーズンを通して1対1ではほとんど負けなかったので、そこは自信を持っています。相手が薫さんだろうと、奪ってカウンターにしてやろうと思っていました」

森岡が三笠を背負った状態でピヴォ当てを受けた場面は2回あった。その2回目、右奥でパスを受けた森岡は一瞬縦に突破を図る素振りを見せたが、結局は三笠に背を向けてキープ。しばらく保持した後、最終的にはバックパスを選択した。試合はすでに後半の時間帯で、町田は大きなビハインドを負っていた。強引にでもゴールをこじ開けたい状況でのバックパスは、すなわち、三笠が勝って「戻させた」と言っても差し支えないだろう。1回目に背負った際の三笠の積極的なディフェンスが効いていた可能性も高い。何気ないワンプレーに見えるが、三笠の成長を象徴するワンシーンだった。

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