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2018.09.14

年の差20歳超。まるで“我が子のような”若手選手に伝えた、ロベカルからの2つのメッセージ

PHOTO BY軍記ひろし

「ロベカルがフットサルに参戦!」
「悪魔の左足が炸裂!」
「Fリーグ最年長得点記録を更新する2発で勝利に貢献!」

フットサル界はこの1週間、いやもう少し前からDUARIG Fリーグ2018/2019 ディビジョン1で6年ぶりに現役復帰した元ブラジル代表の話題で持ち切りだった。ロベルト・カルロスは8日のエキシビションマッチと9日の公式戦の2試合でプレー。Fリーグ選抜の一員としてヴォスクオーレ仙台を迎えたリーグ戦では、圧巻の2ゴールで2-1の勝利を呼び込んだ。世界一を経験した男の“真髄”を世に知らしめたのだ。

わずか1試合でFリーグの歴史に深く名を刻んだロベカルは、我々に何をもたらしたのか──。

この議論は多角的にとらえる必要があるが、今回、ここで最初に触れておきたいのは、一緒に戦った選手たちのこと。年齢差が実に20歳を超す若手選手たちは何を学び得たのか。

「勝者のメンタリティ」とは己を信じ続ける強さ

その一つは「勝者のメンタリティ」だ。ロベカルは来日してから何度もそこを強調してきたが、それはいわゆるリップサービスではなかった。彼の偉大な経験で培ってきた“ホンモノ”のメンタリティを、一つひとつの行動で示していたのだ。

仙台戦の前でロベカルは、「今日の試合に勝つためにできることを全部やろう。怖がったら絶対ダメだ」という言葉で選手を鼓舞したという。しかし、いくらモチベーションを上げても、試合でミスは必ず起きる。1点リードで迎えた前半終了間際、北野聖夜が相手の前線の選手をフリーにしてしまうミスで、痛恨の同点弾を決められてしまった。するとロベカルは北野にこう伝える。

「気にしなくていい。このままやり続けていれば絶対にチャンスが来るから」

ロベカル自身も、ピッチに最初に登場したときには、何でもないパスをトラップし損ねるイージーミスをしてしまった。それについてキャプテンの三笠貴史は、「たぶん、あのミスに関して(本人は)何とも思っていないと思う」と振り返る。当初、ロベカルは明らかに不安そうにしていたし、ミスもおかした。しかし自分の弱点を隠すことなく、自分が今このチームにできることに徹していく中で、不安を拭い去り、最終的には短いプレー時間で最高のパフォーマンスを発揮してみせたのだ。

前半16分、齋藤日向のロングパスを胸トラップして、詰め寄ってくる相手GKの動きを冷静に見極めて、その股を抜くシュートを決めた。そして後半31分、カウンターで自ら中央を持ち上がると、迫るDFをあざ笑うかのようなアウトサイドのパスで左に出して、これを受けた北野がDFを引き付けて折り返す。そのボールはコントロールの難しい高さの浮き球となったが、これを右足で合わせて決勝点を演出した。

やり続けていれば絶対にチャンスが来る──。ロベカルがFリーグ選抜に伝えた「勝者のメンタリティ」とは、己を信じ続ける強さだった。

「真のスーパースター」の振る舞いとは何か

もう一つは「スーパースターの振る舞い」だ。ロベカルはピッチの外でも偉大だった。彼がベンチに座っていたのは、試合時間40分のうちのおよそ33分半。つまり、ほとんどの時間をピッチの外で過ごしていた。

その間に彼は、ベンチに腰を掛けるのではなく、ウォーミングアップゾーンでいつでも出られるように体を動かしながら声を出し、チームメートを鼓舞し続けた。それは試合では当たり前の光景だが、1試合のためにポンと入った選手が、しかも世界のスーパースターが、チームのためにそこまで勝利にこだわれるだろうか。

勝者のメンティリティとともに、彼の何気ない立ち振る舞いも示唆に富んでいた。

「勝つために自分はどうすればいいか。どんな起用をするかは監督にすべて任せる。勝つためなら何でもする」

ロベカルは試合前も試合中も、そういって全権を高橋優介監督に委ねたのだという。その言葉通り、前半のタイムアウトやハーフタイムのロッカールームでも、真剣に指示を聞いていた。「もっと自分を使ってくれと言うこともないし、決して自分が主体にならない」と、高橋監督は驚いたというが、あくまでも一人の選手として、リスペクトを持って監督にも、チームメートにも接する姿は、まさに一流の証だろう。

Fリーグ選抜で戦ったわずかな時間、彼は“スーパースターのロベカル”ではなく“一人のFリーグ選抜の選手”だった。いや、勝利にどこまでも執着して、監督や仲間など、周囲へのリスペクトを常に忘れることのない姿こそが“真のスーパースター”だったのかもしれない。

Fリーグ選抜の選手がまるで“父親”のような年齢の偉大な選手から学んだ2つのこと。それはきっと、彼らにとっては一生、心に刻まれる財産となるに違いない。

しかし、大切なのは経験することではない。この経験をどう生かしていくのか、だ。

Fリーグ選抜の選手たちがピッチで「ロベカル・イズム」を発揮し始めたときに初めて、ロベルト・カルロスが来日した価値の一つが証明される──。

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