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作成日時:2019.02.22
更新日時:2019.02.23

【女子Fプレーオフ準決勝】平均年齢32.9歳のベテラン軍団・さいたまサイコロは、なぜ絶体絶命の状況から這い上がれたのか?

PHOTO BY軍記ひろし

日本女子フットサルリーグのプレーオフ準決勝。府中アスレティックFCプリメイラ(リーグ2位)とさいたまサイコロ(同3位)の対戦は、女子フットサル史上屈指の名勝負となった。

第2戦の前半を終えた時点で3点のビハインドを負い窮地に立たされたサイコロがそこから4点を連取し大逆転で決勝進出を決めたのだ。劇的な勝利の裏には、今季で退任する小野監督がチームに浸透させてきたある合言葉があった。

絶対的不利な状況からの大逆転勝利

2試合で5ゴールの離れ業を演じた筏井りさ

「さすがにこれはもう、決勝進出は府中で決まりだろう」。恥ずかしながら、第2戦の前半を終えた時点で筆者はそう思っていた。第1戦をドローで終えて迎えた第2戦。前半を終了した段階で府中がサイコロを5-2(2戦合計9-6)とリードしていたのだ。フットサルという競技において、残り20分での3点差は決して逆転不可能なスコアではない。だが、それが難しいと感じるのにはそれなりの根拠があった。

まず、プレーオフのレギュレーションとして同点で終わった場合にはリーグ戦の順位で上回るチーム(府中)が決勝に進出する。よってサイコロが逆転で突破するには、後半の失点を0に抑えたとしても最低4ゴールが必要だったのだ。

さらにベンチに登録されているFPの人数は府中が10人なのに対してサイコロは8人と2人少なく、時間が進むにつれて運動量に差が出始めることも予想された。また、両チームの平均年齢は府中が24.4歳なのに対してサイコロは32.9歳と、ここでも大きな開きがあった。

もちろん、ピッチに入れば年齢など一切関係ない。むしろフットサルはサッカー以上に、大事な一戦になればなるほど経験値が物を言う競技だ。男子のFリーグでも40歳近い選手たちが未だに第一線で活躍していることからも分かるように、年齢はあくまでもただの数字に過ぎない。

だが、前日に行われた第1戦で、サイコロは一時4-2とリードしながらも後半に2点を連取され追い付かれていた。終盤は疲労からディフェンスの寄せが遅れる場面も見受けられた。それから24時間も経っていない中での第2戦、フィジカル的に最も厳しい終盤に再度ギアを上げるのは容易なことではない。客観的に見れば、やはり逆転は困難なはずだった。

しかし、サイコロのメンバーは誰一人として諦めていなかった。後半開始早々に相手のミスから得たチャンスを安奈希沙が決めて反撃の狼煙を上げると、32分に再び安が、続く34分にはエース筏井(いかだい)りさが決めて同点に追い付く。突破にはあと1点が必要な状況で、サイコロが36分にPKを獲得。これを筏井が左隅に蹴り込み、サイコロが大逆転で決勝進出を決めたのだ。

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