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作成日時:2023.12.15
更新日時:2023.12.16

【日本代表】木暮ジャパン初招集から丸2年。甲斐稜人が大怪我、移籍を経験してたどり着いたフル代表のピッチ「この試合を最低ラインに、ここから上がっていくだけ」

PHOTO BY本田好伸

日本代表は12月14日、国際親善試合でアルゼンチン代表と対戦した。開始4分で先制点を決められたものの、最後残り1分で追いつき、2016年のワールドカップ優勝国に1-1で引き分けた。

この試合で、待望のフル代表デビューを果たしたのが甲斐稜人だった。2年前の2021年12月13日、木暮ジャパンとして最初の代表候補合宿に呼ばれた甲斐だったが、数カ月後に前十字靭帯損傷の大怪我を負ってしまう。デビューを果たすまでに手術やリハビリ、名古屋オーシャンズへの移籍もあった。甲斐はどんな思いでここまで歩み、ピッチでなにを感じたのか。

試合後、甲斐にデビュー戦の感想を聞いた。

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父・甲斐修侍の眼前で代表デビュー

──代表デビュー、おめでとうございます。率直な気持ちを教えてください。

フル代表に最初に呼ばれてから2年が経って、その間に大きい怪我や移籍もあって、なかなかうまくいかない時間の方が多かったです。ここまで来るため、怪我の治療でサポートしてくれた家族やトレーナーの方に本当に感謝しています。そうした支えがなければ、復帰できなかったと思いますし、コンディションも上がっていなかったと思います。

──初めてピッチに立ったのは第2ピリオドからでした。交代エリアで待つ時間が長かったですが、どんな思いでピッチへ立ちましたか?

ここまで連れてきてくれた方に対して、感謝の気持ちを持ってピッチに入りました。試合に関しては「落ち着いて、自分のプレーを出せればいいな」と思っていて、特に緊張することはなかったです。

──甲斐選手がピッチに立つ時、スタンドにいた甲斐修侍さんがどんな表情をするか見ていたら、全然変わらなかったです。

(笑)。全然変わらないと思います。普段、そんなに連絡を取るわけでもなく、(今回も)あまり連絡はしていなかったので。

──「見ておいてくれ」と。

そうですね。そこに関しては見ておいてくれと(笑)。

──試合は楽しかったですか?

楽しかった? うーん……昂る気持ちや試合前の感覚は楽しかったですけど、試合自体を楽しめたかと言われたら、楽しめるところまでには至ってないです。

──ボールを持った際、対峙する相手を鋭い切り返しではがすなど堂々とプレーしていたように見えました。自分自身の感触は?

試合に入る前、グレさん(木暮賢一郎監督)からは「高い位置で1対1を仕掛けてほしい」と要求されていましたけど、高い位置でボールを受けるまでに至りませんでした。あとは日本代表のやり方が(自分自身に)まだ浸透していなくて、僕の動き方やタイミングが全然違ったり、止まっている時間や迷っている時間も長かったので、自分の力を出すためのプロセスはよくなかったですね。

──やはりFリーグの試合とは全然違いましたか?

そうですね。応援の熱量も、人数も全然違いましたし、日の丸を背負って戦うことが初めてだったので、そのプレッシャーは無意識に感じていたかもしれないです。

──相手の球際やフィジカルの強さ、足が伸びてくるような感覚はどうでした?

正直、出場時間が短かったのですべてを感じるまでにはいけなかったです。でも、夏場からコンディションはいい状態なので、そこのベースを上げることを続けたいですし、そうすれば試合での強度もプレッシャーもあまり感じなくなると思います。目の前で世界レベルの選手を見られて、「何年後かにここでプレーする」という感覚もイメージできました。時間は進んでいくので、この経験を無駄にしないように、自分に必要なことを取り組んでいきたいです。

──振り返ってみて「こうするべきだった」と思うプレーは?

動き方をミスったというのはわかるんですけど、「こうした方がよかった」というのは、今はわからないです。次の帯広でまたチャンスをもらった時は自分のストロングポイントを出し切れるように、戦術をもう少し浸透させなければいけないです。メンタルは問題ないので、チャンスをもらうまでの準備をコントロールして臨みたいです。

空との予習がなければもっと苦労していた

──同世代で普段も一緒にいることの多い金澤空選手は、代表でのキャリアが少し長いですが、意識はしますか?

ライバル意識とかは別にないですけど、僕が代表のやり方により早く慣れるためにサポートしてもらっています。この代表活動が始まる2、3日前に空の家に行ったんですが、あいつ、フィギュアをいっぱい持ってるんですけど、それを机に並べて動かして、映像をスローで見て、動き方を教えてもらったりしました(笑)。

──ちなみになんのフィギュアですか?

変なのがいっぱいあります(笑)。あ、でもロナウジーニョとかマルセロとか、監督のグアルディオラとか昔のサッカー選手もありました。他にも部屋にいっぱいあるんですけど、あれがなければ練習でももっと苦労していたと思います。

──歯痒い思いもあるかもしれないですが、代表選手としての一歩を踏み出して、今後へ向けた気持ちはいかがですか?

代表でようやくデビューできましたけど、これを自分のなかでの「最低ライン」に、ここから上がっていくだけだと思っています。次の帯広まで準備できる時間も短いので、自分に求められていることをまずは徹してやる。それ以降のワールドカップに向けては、自クラブに戻って自分のやるべきことを整理して、ストロングポイントを出しつつウィークポイントにも向き合って日々を過ごしたいです。

──今後、もしかしたら海外のチームでプレーすることになるかもしれないですし、世界のレベルを体感できたことは意義のあることでは?

そうですね。そういう意味では今日は本当にいい経験になりました。海外でプレーしてみたい気持ちもあるので、今海外にいる選手が対戦相手にいて、いい指標になったんじゃないかと思います。プレー時間を伸ばして、もっともっと肌感で(世界のレベルを)感じたいので、次へいい準備をして、将来のためにももっといい感覚を感じられるよう臨みたいです。



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