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作成日時:2024.09.17
更新日時:2024.09.21

【日本代表】新生“健介ジャパン”で指揮官が感じた“敗北”からの変化「チーム全体がアジアを超えていく意欲に満ちている」(高橋健介監督)

PHOTO BY本田好伸

9月13日、高橋健介監督が就任してから初めての活動がスタートした。代表チームは13日のみ国内でトレーニングを行い、14日からキルギスへ移動。同国代表と2試合の国際親善試合を戦う。

世界のフットサルシーンでは、14日からFIFAフットサルワールドカップが開幕。本来であれば日本も5回目のW杯を戦うはずだったものの、4月に出場権をかけたアジアカップに敗れ、アジアの5枠に入ることができなかった。2016年に同じくW杯出場を逃した“タシュケントの悲劇”から8年目に訪れた“バンコクの失敗”を経て、日本は新たな監督の下で、改めてW杯出場と、その舞台でベスト8に入ることを目標に、ここからまた歩みを再開する。

“健介ジャパン”の最初のトレーニングセッションを終えた高橋監督に話を聞いた。

<日本代表>インタビュー



このチームは“アワーチーム”でやっていく

──トレーニング初日、最初のトレーニングを終えてどんな感想ですか?

一発目から強度が高く、みんな非常に意欲的にやってくれたと思います。

──今日を含め、今回の遠征の狙いを教えてください。

新チームになって、まずは自分たちのプレーモデルを浸透させることと、このタイミングでのトレーニングで一番重要なのは、自分たちのマインド、フィロソフィーをしっかりと理解してもらうこと。そのミーティングは長めに行いました。ピッチでは戦術的なことをやりますけど、どういった心持ちや価値観で取り組んでいくことが大事なのかを考えています。

──特に高橋監督の色を出したいといった部分は?

どうでしょう。それはみなさんが見て、あると感じるのであれば“ある”と思います。基本的に、戦術の部分では(木暮賢一郎前監督の下で積み重ねてきたものを)継続していくことを考えています。

──始まる前の笑顔などは自然と出てきたものですか?

つっつー(堤優太)が、意図的かどうかはわからないですけど笑顔にしてくれたので、みんなで一緒になって一致団結して、「OUR TEAM」(アワーチーム)という、ラグビー日本代表が掲げていた「ONE TEAM」(ワンチーム)というスローガンを借りてきて、「このチームはアワーチームでやろう」と伝えているので、それをたまたまですけど間違った円陣をしたことで笑いが起きたようです。

新しい目標に向かっていますし、いつまでも下を向く必要はないですから、ポジティブにいこうと。明日(14日)からワールドカップが始まるこの状況で集まって、その予選に参加していた選手にとっては苦しいですけど、その責任をみんなで分散しながら、覚悟をもって進めていきたい。ネガティブにスタートする必要はないと思っていたのでいい雰囲気で取り組めました。

──始動のタイミングで選手に向けてどのようなメッセージを伝えましたか?

記者会見でお話ししたように、このチームのフィロソフィ、アイデンティティがどういったもので、これを背負う意味はなんなのかという話を最初に、長い時間をかけてしました。アイデンティティとは誇り、責任、覚悟、礼節、団結という5つのワードにしたものですが、これを自分たちがピッチ内外で表現するという話をしました。

──チームの雰囲気は新しいスタートを切るという感じになっていますか?

そうですね。目標は明確ですし、自分たちがもう一度W杯に出場する、そしてベスト8以上にいくことは、僕が提示したというより、選手たちが本気でそこを目指していると思います。そういった気持ちでスタートを切れているので、ポジティブに始まっていると思います。

キルギスに勝ってもリベンジが終わるわけではない

──選手やコーチ時代と比べて、どこか違うと感じていることはありますか?

選手のほうが僕に対して距離感をうかがっているところもあると思います(笑)。もちろん、自分が決断する立場ですから、そうした側面は出てくると思いますけど、“対高橋健介”という人間と選手という付き合いを今までもしてきたつもりなので、そこは変わらずに、ピッチ外では冗談を言い合える関係でいたいですし、その関係でいられれば、なんでも言い合える。決断はします。ただし、なにか意見があれば言える関係でいたいと考えています。

──コーチ時代は監督と選手とのパイプ役だったと思いますが、選手との関係はあまり変わらない?

今回は(前代表チームが2人置いていたような)コーチがいないですから、監督業もコーチ業も含めて両方やっていきます。選手への個別のアプローチなど、コーチとして携わってきた経験を生かしてやり切りたいと思います。

──樋口就大と南雲颯太が初選出で、目の前で見てない選手もほぼいない状況です。

颯太については、(南雲が高校生時代に)一緒にスペインに行ったりしたこともありますし、彼のキャラクターも知っています。樋口就大についても改めてコミュニケーションをとっていますし、オープンな関係ではあるので、これからもっともっと信頼関係を積み重ねていけると思います。

──樋口岳志選手を「ウニベルサーレ」というポジションにした意図は?

自分たちは、相手が嫌がることをやり続けるというスタイルです。岳志のような選手が入ることで、ピヴォにもなるし、フィクソにもなるということでミスマッチを起こしやすくなる。それに、どこかのポジションが欠けた時でも、14人の中からバックアップできるかもしれない。いろんなポジションを非常に高レベルでできる選手は貴重だと思っています。

岳志が本当に、いろんなポジションを高いレベルでできるかどうかを見極めないといけません。

──ウニベルサーレは世界的にもそう表現できる選手がいないほどハードルが高いものではあります。かつて、元ブラジル代表のシュマイケル選手などが呼ばれていました。あえてそれをつけたところにメッセージ性を感じます。

そんなに深いメッセージは考えていません(笑)。現時点で、横浜ではピヴォで出ているわけでも、完全にアラということでもなくフィクソでも出ています。所属クラブで明確なポジションがない、全部を高いレベルで表現できていますから、そうした意味でウニベルサーレとしています。

──「ピヴォ/アラ・フィクソ」と表現しなかったのは?

(表記が)長くなるからです(笑)。

──国際親善試合の位置付けと、今回の活動で確認したいことは?

FIFAデイズを使って強化していく方針は変わりません。(2026年のアジアカップに向けて)来年10月のアジア一次予選に向かっていく限られた活動から逆算して、このフェーズではここまではやりたいというものがあります。それを一つずつ積み重ねていく。そのなかで、アジアのチームに対して負けることはあり得ない、勝ちにいく。当然のメッセージとして選手にも伝えています。

勝ちながら、細かいものを積み上げていけるようにこの合宿でも準備していきたいと思います。

──キルギスはアジアカップの初戦でやられた相手です。改めてどんな相手ですか?

今は中央アジアと西アジアが間違いなく台頭してきています。アジアでレベルアップしているそうした国のプレースタイルに自分たちが順応できるように今回の遠征を設定しています。キルギスの選手は体も強く、足も長い。そうした意味で、Fリーグでは通用してもそこでは通用しないものがある。逆に、Fリーグでは通用しないけども、そうした相手に通用するものもありますから、そのスイッチの切り替えができるように、最初のターンではアジアの国と親善試合をして強化したいと思っていました。

4月のアジアカップでも短い準備期間であれほどのチームをつくってきているのでキルギスはさらにレベルアップしていくはずです。その戦いを楽しみにしながら、日本の選手がどれくらいやれるのか、選手は大きな可能性をもっていると信じています。

──キルギスを選んだのは敗れてしまった「アジアカップを乗り越えていく」みたいなメッセージも?

選手にも話したのですが、ここでキルギスに勝ったとしても「リベンジが終わった」ということではありません。W杯に向けた戦いでアジアのそうした国に勝っていくことでしか本当の意味でリベンジはできません。負けたからキルギスを選んだというよりは、W杯に出ていない国の中で、自分たちが強化していくためのターゲットとなる国や地域。さらにはルイス(・ベルナット)という、元ペスカドーラ町田の監督が指揮していますから、あらゆるオーガナイズを含めてよくしてもらえる環境とセットで組んでいます。これがキルギスだろうと他の国であっても、勝ちにいく準備は変わりません。

──アジアカップから今回の間で変化を感じる選手は?

全体的に変化を感じます。アジアカップに参加したメンバーは間違いなく悔しい思いをしたと思いますし、その気持ちを表現しようという意欲を、トレーニングやミーティングの視線からも感じます。また、アジアカップに行っていないメンバーも当然、アジアを勝ち上がった後に自分がW杯に行くんだと頑張っていたと思うので、その期間で悔しい思いをしたものが表現されて、全体的な意欲が上がっているように感じています。アワーチームですから、意欲のある選手が集まって雰囲気が出来上がる。チーム全体として新しい目標に向かう意欲を感じています。



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