更新日時:2025.12.02
個人も戦術も格上のブラジルに勝って、世界一になる──。須賀雄大監督が挑む、W杯最難関の壁「勝つこと以外、自分たちにできることはない」

PHOTO BY伊藤千梅
【FIFAフットサル女子ワールドカップ フィリピン2025】日本 9-0 タンザニア(日本時間11月29日/フィリスポーツ・アリーナ)
11月29日、フットサル日本女子代表はフィリピンのマニラにあるフィリスポーツ・アリーナでFIFAフットサル女子ワールドカップ フィリピン2025、グループステージ第3戦を戦い、タンザニア代表に9-0で敗戦。この結果、日本はノックアウトステージに進出し、12月2日の準々決勝でFIFAランキング1位のブラジル代表と対戦する。
試合翌日、須賀雄大監督に話を聞いた。

目の前の試合を勝ち抜くだけ
──グループリーグ突破おめでとうございます。
ありがとうございます。
──今の率直な感想を聞かせてください。
まず、グループリーグ突破は大会のノルマだと思っていました。ここを絶対に突破したい思いがあったので、ノルマを達成できてうれしく思っています。
目標は世界一なので、ここから1歩1歩チャレンジをして、山を越えていく作業に入ります。日本女子代表がどこまでやれるのかワクワクしています。
──予選は2勝1敗で、ポルトガルには善戦及ばずという形でした。予選のスコアや内容などは須賀監督が考えている想定内でしたか?
もちろん、チーム一同、3勝してグループリーグを1位で突破したいという希望はもっていました。ただ、ポルトガルとの一戦は、どっちに転ぶかわからない試合だと思っていました。
アジアでチャンピオンになった時のように、「8割、9割自分たちが勝つんだ」と目標を立てられるほど、ポルトガルに対する優位性をもてていません。なので、国際経験もFIFAランキングも格上の相手に対して、どのように勝ち星を上げるかというところにフォーカスをして取り組んできました。
そういった意味では非常に悔しい敗戦にはなりましたが、大会の一つのこととして受け入れつつも、決勝トーナメントに確実に進出して、そこを勝ち抜いて優勝するプランは大きく変わりませんでした。
──逆に、想定以上にうまくいっていることはありますか?
基本的にアジアカップを戦い抜いた選手がほとんどのチームなので、選手のパーソナリティーや得意なプレー、セット間のバランスなどはイメージ通り機能して、いい形で大会を過ごせてると思っています。
ワールドカップという初めての舞台で、スコアだけで見れば大勝している印象を持たれるかもしれませんが、開幕戦前は緊張感がありましたし、ポルトガル戦も強豪相手に非常に緊迫した空気でした。
そして3試合目で対戦したタンザニアは、ニュージーランドに勝っている相手ですし、アフリカ王者のモロッコに決勝で肉薄してポテンシャルは底が知れないチームでした。そのチームと決勝トーナメントをかけて戦うシチュエーションは、自分たちにとって初めて経験するものでしたが、選手たちにはしっかり自分たちに向き合って、地に足をつけてプレーして欲しいと思っていましたし、その通りにやってくれました。
そういった精神力に関しては想定していたことではありますが、想定していた通りにやることが非常に難しいことだと思っていたので、彼女たちを誇りに思っています。
──タンザニア戦で、第2PKを中村みづき選手と岩崎裕加選手に任せた意図を教えてください。
本来キッカーの宮原(ゆかり)と追野(沙羅)が若干足に不安を抱えていた状態でしたし、点差も開いていたので、その2人をスキップしました。
中村と岩崎は彼女たちに続く第2PKのキッカーだったので、練習の時の精度を考慮して、蹴ってもらうことにしました。
──実際に中村選手が決めたことについてはいかがですか。
中村は中長距離からもしっかりとシュートを射抜ける選手で、パワープレーのシューターにも入っています。
日本人のこれから取り組むべき課題の一つとして、中長距離から積極的にシュートを放っていける選手がどんどん出てきてほしいと思いを持っています。
彼女も含め、追野、宮原、岩崎、といった選手たちがシュートレンジをどんどん広げていく作業、そういった狙いをもってプレーをしてくれれば、日本女子フットサル界のまた一つの大きな進歩につながっていくんじゃないかなという希望と期待はもっています。
──次はいよいよ世界ランク1位のブラジルとの対戦です。ブラジルの印象をどのように持っていますか。
世界で一番多くタレントがいるチームです。フットサルの個人技術、戦術の引き出しも非常に多いチームだと思っています。
──ブラジル戦の展望はどのように感じてますでしょうか。
ノックアウトステージに進んだ後は、先のことを考えずに目の前の試合を勝ち抜くことしか考えてないです。当然、大会の最後まで残ってプレーしたい気持ちはありますが、まずはこのブラジルに勝つこと以外に自分たちにできることはないので、まずそこにフォーカスしてやりたいと思ってます。
──日本には、これまでのようなハードワークと積極的なプレーをすることに期待してもいいですか。
ブラジル、ポルトガル、スペイン、といった世界の強豪とワールドカップで試合をすることを想定して、目標を立ててきました。ハードワークの部分については、この大会をやり切るために、自分たちのストロングポイントを忘れずに、常に表現し続けることで勝利がつかめると思っています。














