更新日時:2026.09.18
【日本女子代表】2029年のW杯“ベスト4”を掲げる新指揮官・上久保仁貴監督が説く、代表チームの矜持「自分たちで女子フットサルの価値を上げるために取り組む」

PHOTO BY本田好伸
フットサル日本女子代表は、8月5日から8月9日にかけて国内トレーニングキャンプを実施。2025年12月のFIFAフットサル女子ワールドカップを終え、須賀雄大監督が退任し、今年5月に上久保仁貴監督、加藤正美コーチの就任を発表した。
新チームへと移行して最初となる今回の活動には19名が選出。SWHレディース西宮との“兼任監督”となる新指揮官は、どのようにこのメンバーを選び、この先の道のりをどのように描いているのか。
8日に行われた立川アスレティックFCレディースとのトレーニングマッチ後に話を聞いた。
取材・文=本田好伸
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目標は「世界のベスト4」

──新監督として最初のトレーニングマッチを終えて、ここまではどんな感触ですか?
今までの代表チームとは少しテイストを変え、僕がこだわっている部分をみんなと共有しながら進んできたのですが、選手たちはすごくマジメに取り組んでくれ、良いシチュエーションもたくさん増えてきました。キャンプ自体はすごく順調にこなせています。この試合は初戦ですし、いろいろと難しい部分もあると思いますが、最後に勝てたことも大きかったと思います。
──監督としては、どんなメンバーで、どんなチームにしようと考えていますか?
これは選手たちとも共有したのですが、僕自身も女子フットサルに長く携わってきていますし、自分たち自身で女子フットサルの価値を上げるために取り組んでいこうということを伝えました。
そのためにはもちろん結果を出さないといけないですし、結果だけではなく、ピッチ上で見ている人たちにそういった想いが届くようなプレーをしようというところで、今回の合宿をスタートしました。
──戦術的な部分でも価値を上げる。
そうですね。女子特有というか、女子だから見せられるものがあります。男子と比べてスピードが遅い分、(観客にもその狙いが)見えるものもたくさんあると思います。そういった、女子フットサルは魅力があっておもしろいというものを世の中に届けたいと考えています。
──今回選んだ19名はどのような構成でしょうか。
構成としては3つのグループに分けています。1つ目は、昨年のワールドカップに出場した選手で、2つ目は、W杯に出場していないもののリーグでパフォーマンスがいい選手。3つ目は23歳以下でリーグで活躍している選手です。
この3つのグループに分けて選んだのですが、きれいに人数を振り分けられたわけではありません。意図としてはW杯の経験を伝えてほしいという思いと、そこに選ばれずに悔しい思いをした中間層の選手たちに思いを継いでほしいというところ。そして23歳以下の選手には、次の2029年のW杯やその先を見据えてという部分です。
──初日からすごくコミュニケーションが取れている印象があります。
僕もそれはすごく感じています。年齢の近い選手が多いこともあるかもしれないですけど、本当にオンとオフがはっきりしているなと。オン・オフについては僕も選手たちには伝えました。
──監督もクラブと代表チームを兼任しています。加藤正美コーチも同様ですが、メリットと同時に難しさもあるのではないでしょうか?
そうですね。メリットとしては、実際にクラブでやっているからこそ見えるものもあります。例えば対戦相手として戦っていて、すごくやりづらいとか“嫌な選手”のプレーを実際にピッチレベルで見ることができます。
それはスタンドで見るのとも違うなと感じています。それに、選手との関係性についても、クラブでやっているからこその近さがありますし、やったことがない選手よりも入り込みやすい部分があると思います。
ただし、基本的にすべてのことをオープンにしているとは言え、難しさもあります。「SWHレディース西宮の監督」という肩書を外せない難しさはいろんな面で感じてはいます。

──加藤コーチとの2人体制のような印象もありますが、どのように分担しているのでしょうか?
2人で話すことがこのチームのすべてになっていく感じですね。お互いに神戸と西宮の監督という立ち位置に関係なく、あくまで代表スタッフとして話している感覚です。本来、そこまでオープンにするものではないかもしれないですけど、自分の考えを伝えて、すべてを見せています。
お互いにさらけ出しすぎていて、その状態でリーグ戦も戦わないといけないですけどね(苦笑)。ただ、それはそれでおもしろいと思います。そうやって手の内を見せ合っている状態の対決を見ている人にも楽しんでもらえたらいいかなと思いますし、そうやってリーグ全体のレベルが上がることは大きな楽しみです。
──この試合は20分×2本を完全に2セット×2セットで回していくと決めていたのでしょうか?
今日はそういう形で進めました。
──各セットごとに色は異なるものの、性質は似ている組み合わせでした。手応えはどうでしたか?
やはり初めての試合という難しさは、チームとしても、スコアという面でもありました。ギリギリ、1-0で勝ちましたけど、どのセットに関しても、感覚としてはそんなに悪くはないかなと思います。
狙いとしてバランスを見て選んだ部分もありますが、いい面もたくさん見られましたし、一方で、少し気になっているところも出ましたから、また明日のゲームにつなげていけたらいいかなと。

──ある程度は想定通りの内容だった。
そうですね。僕自身も初めてのゲームなので、どういうものになるのかは想定できるものとそうではないものがありました。この内容、結果を踏まえて、スタッフの中でもいろいろと話していけたらと思います。
──最初のセットでは、尾川奈穂選手と澁川鈴菜選手の関係性が際立っていました。そのタイミングで連係できるんだと、初めて組むとは思えないような印象を受けました。
すごくチームとして良かったですね。おっしゃるように、その2人の関係のようにいい連係が出ているところはすごく楽しみですね。
──4つ目のセットの田中夢選手は15歳での選出です。見ている限りでも、すごく頭を悩ませながら、フットサルの難しさとおもしろさを体感し続けていたように感じました。監督の目にはどのように映っていますか?
このキャンプで一番成長していると思います。本当に教えたらそれをすぐに実行できる能力が素晴らしいと思いますし、今日のゲームを見ていただいたらわかると思いますが、すぐに適応していきます。本当にスポンジのように吸収していく彼女の能力はものすごいなと。実際に手元に置かないと見えてこないものがありますけど、ここまでの5日間で彼女の活躍や成長スピードには驚いています。
──試合中、最初にピッチに立った時と終盤ではまるで顔つきが違いました。守備で迷いを見せていたところから、最後は自信をもってプレーしていました。
第2ピリオドの終盤にはそれこそベテランのような振る舞いで、味方も夢を頼ろうかなと思うくらいの感覚だったと思います。そういうところに僕らも毎日驚かされています。連日のようにトレーニングで良くなっていくので、見ていてすごく楽しいですね。
──このキャンプを経てこの先どのように進んでいきたいと考えていますか?
それほど活動回数が多いわけではないですけど、「世界のベスト4に入る」という目標を設定しましたので、日常を上げるための代表活動にできたらと思います。それをクラブに持ち帰って、クラブとも連携しながら女子Fリーグ全体のレベル感を上げて、クラブと一緒に上げていきたい。その一端を担えたらと考えています。

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