更新日時:2026.11.05
なぜ私は机の下に向かって絶叫していたのか?大分の劇的逆転弾と、実況席で起きていた2つの事件【福田悠のフットサル小噺】

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SALをご覧の皆さんこんにちは!FリーグTV実況の福田悠です。10月からスタートした新連載『福田悠のフットサル小噺』第3回目の今回は『あえて“仁部屋のゴール”と伝えた理由(わけ)。劇的幕切れに合わせた例外的判断の話』というテーマでお送りします!
第1回コラム「FP顔負け!町田GKビゴージの“高速セルフカウンター”は何がすごいのか?」
第2回コラム「福田悠は実況?それとも解説?マニアックなしゃべりの裏にある「線引き」
残り1秒の劇的逆転弾で大分が首位・名古屋撃破!
いよいよレギュラーシーズン終盤に入ってきている今季のFリーグ・F1。先々週末に開催された第16節は、全6試合のうち実に5試合が1点差の接戦となりました。

なかでも劇的だったのが、サイクルショップコダマ大洲アリーナで行われたバサジィ大分×名古屋オーシャンズの一戦。単独首位を走る絶対王者をホームに迎えた大分は、第1ピリオドに先制を許したものの第2ピリオド8分49秒、昨季まで名古屋に所属していた水谷颯真選手の恩返し弾で1-1の同点に追いつきます。そして最終盤残り2秒、右サイドの高い位置で得たキックインから伊集りゅうアンドレ選手が低く速いボールをファーに蹴り込むと、これが名古屋DFのオウンゴールを誘発。見事、2-1での大逆転勝利を遂げました。
いや~本当に劇的でしたね!
個人的にはABEMAやDAZNも合わせてこれまでに300試合以上フットサルの実況を担当してきましたが、過去に残り数秒でのゴールこそあれ、残り1秒での逆転弾を伝えたのは初めてのことでした。
この日は選手たちだけでなく、会場を埋めた大分サポーターの皆さんの後押しと一体感が画面越しでもこれでもかと伝わってきていたので、決勝点は正にクラブに関わるすべての人々の気持ちがボールに乗り移った得点だったように思います。
20階へのノールックシャウト
実はこの試合の前日、FリーグTVスタジオスタッフのMくんから「福田さん、明日久々に実況中の様子を撮らせてもらってSNSにアップしても良いですか?」と打診があり、当日は1試合に渡り小型カメラが私の表情を録画していました。
今にして思えば、シーズン全体を見てもそうそうあるものではない劇的な試合をピンポイントに選んで依頼してきたMくんの嗅覚が凄まじいなと思います(笑)。
んで、逆転弾の場面で撮れていた映像がこちらです。
残り2秒、1-1。
最後に、ドラマがあった――🎙️🔥実況 #福田悠 のリアクションと一緒に🫶
📅10.25 12:00
🆚大分vs名古屋
📺全試合ライブ&見逃し配信は #FリーグTV で#フットサル https://t.co/DPgvU3l5tC
— FリーグTV (@FLEAGUETV) October 28, 2026
FリーグTVのXのほか、FリーグのYouTubeチャンネルにもショート動画が上がっていたので、既にご覧になった方も多いかもしれません。自分で観た感想としては、まずうるさいですね(笑)。よほど興奮したのでしょう。ゴールが決まった瞬間、ジェットコースターにでも乗っているかのように前後に激しく体が揺れ、瞳孔が……いや目が激しく見開かれています。
そしてその後、何故か画面から姿を消し、今度は地面に向かって叫んでいます。いや、FリーグTVのスタジオは港区赤坂のとあるビルの21階にあるので、正確には20階に向かってシャウトしています。
明らかに変な人です。おかしいです。実況中の挙動として。この行動に関して何かしらの補足を入れなければ、私はただの不審者になってしまいます(笑)。そんなわけで、私個人のXでもFリーグTVの投稿を引用して理由を説明(というかほぼ弁明)させていただいたのでした。
「何で地面に向かって叫んでるのw」と思われそうなので念のため補足を(笑)。
FリーグTVの現在のスタジオは同フロア内で複数の試合の生配信を同時に行っているケースがありまして、この時も部屋の反対側で北海道×浦安戦を長谷川ゆうさんが実況されていました。
で、私のバカでかシャウトがそちらの配信音声に乗ってしまうおそれがあったので、机の下に向かって叫ぶことで少しでも軽減しようとしていたわけですw
また、シャウトの際は音割れ防止のため左手でマイクの距離を微調整しています。例えばDAZNとかだと流石に音響機器の性能も素晴らしいので、日本代表戦を喋る時などはそのまま叫んでいます。
そもそもの叫ぶ声量自体を抑えても良いのですが、それだと熱量も半減してしまう気がするので、あくまでも自然体で喋る・叫ぶのはそのままに物理的にマイクを離して調整するのが最適解な気がしています🎧️それにしても劇的な試合でしたね。キックインの前、サポーター席を両手で煽る大分・吉田圭吾選手の姿を見てグッときてしまい、一瞬画面から目線を外しています。この時点で何かが起きそうな予感はありましたが、まさか残り0秒での決着とは。
名古屋としては代表帰りの選手が多かったことやラファ・サントスの退場など難しい条件が重なってしまったとは思いますが、それでも絶対王者に食らいついていった大分の戦い振り、逆転を呼び込んだホームの一体感が本当に素晴らしかったと思います。
今季のF1も既にレギュラーシーズン終盤に入っていますが、ここからどんなドラマが生まれるのかとても楽しみです!#フットサル
#FリーグTV
#F1— 福田悠@Fリーグ中継実況📺,スタジアム・アリーナMC🎙️🏟️ (@yu_fukuda1129) October 28, 2026
そこにも書かせていただいた通りなのですが、現在のFリーグTVのスタジオは予算の関係もあり、完全個室のブースが用意されていません。吸音材が仕込まれたローパーティション(高さ2,100mmほどの衝立て)に囲まれた簡易ブースが、フロア内にいくつか建てられています。
そして25日の大分×名古屋戦の裏では、13:00キックオフのエスポラーダ北海道×バルドラール浦安(実況:長谷川ゆうさん)の配信が行われていました。フロア内の反対側とはいえ、普通に叫んでしまうと私の声が北海道×浦安戦の配信に乗ってしまうかもしれない。かといって音量を抑えて喋っては、せっかくの劇的逆転弾の興奮が伝わらなくなってしまう。
というわけで、MAXで叫びつつも声の反響を少しでも抑えるため、机の下の空間に向かって叫んでいた、というわけです。
また、FリーグTVのマイクはMAXで叫ぶと音が割れてしまうことがあるので、ゴールシーンなど、声量が大きくなる場面では左手でマイクを物理的に離して微調整するようにしています。屋外でのイベントMCの仕事などでも、ハウリングが発生した際は同じ要領でマイクとの距離を調整してコントロールしています。
本来、こうして実況の内容以外の様々な事柄に考えを巡らせながら喋るのはあまり良いこととは言えませんが、現在の環境下で少しでも快適にご視聴いただけるよう、自分個人の範囲内で善処できる事象に関しては、引き続きできる限りの対応をしていきたいと思います。
あえて選択した“仁部屋のゴール”
大分の決勝点の実況に関してもう一点。伊集選手が送り込んだラストパスに対して仁部屋和弘選手が相手と競り合いながら足を出していきましたが、記録は名古屋DFのオウンゴールとなりました。
我々は視聴者の皆さんがご覧になっているのと同じ映像を観ながら喋っているわけですが、あの場面、あの映像を観た上での私の見立ては「仁部屋さんのゴール3割:オウンゴール7割」でした。「際どいけれど、おそらく名古屋DFのオウンゴールだろう」と。
普段であれば、「最後は仁部屋が押し込んだか!記録はオウンゴールになる可能性もありそうですが、まあいずれにしても伊集が素晴らしいボールをゴール前に蹴り込みました!」といった具合でまとめます。両方の可能性を明示しつつ、現地から情報が届くまでは「ボカす」わけです。
しかし、今回のゴールは年に一度あるかないかの、ラストワンプレーでの逆転弾でした。ましてやゴール前に飛び込んだのは、Fリーグ開幕初年度を知るクラブのバンディエラ。上記のようなボカした語りでは、この幕切れを形容するには弱すぎる。そこで「最終的に記録がオウンゴールになってもいいから、ここは仁部屋さんのゴールとして伝えよう」と決めました。
“伊集りゅうアンドレが蹴り込んだボール!最後は10番の仁部屋和弘!!ミスター・バサジィが押し込みました!!”
前回のコラムでも少し触れた通り、実況は本来、いま起きたありのままを言葉にして伝えるのが仕事です。しかし一方で、それが正解とも限らない場面が、ごくごく稀に訪れると感じています。配信を観ている人たちがその瞬間、より試合に没入できるのはどちらか。
もちろん、仁部屋選手のゴールの可能性が全く無さそうであれば間違いなく「オウンゴール」とお伝えしていました。ただ、映像を見た限りではそれは断定できなかった。仁部屋選手のゴールになる線もあるように見えた。あとから「記録はオウンゴールでした」となったとしても許容される範囲内だと判断し、あえて「仁部屋和弘のゴール」とお伝えしたのでした。
ただし、試合後にFリーグTVのSNSに投稿されるゴールハイライト映像にはその場面が残らないよう、上記した「最後は10番の仁部屋和弘!!」というコメントは、ゴール後あえて少し時間が経つのを待ってから発しています。詳しくはFリーグTV、もしくはFリーグのYouTubeチャンネルに上がっている配信映像を確認してみてくださいね!

というわけで、2回続けて実況に関するテーマでお送りしましたがいかがでしたでしょうか?記事中にも書いた通り、皆様に少しでもお楽しみいただける配信となるよう、今後とも自分のやれる範囲内で最大限善処してまいりたいと思います!そして次回のコラムも引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
<著者プロフィール>
福田 悠(ふくだ・ゆう)
1985年11月29日生まれ。神奈川県相模原市出身。法政大学社会学部卒業後、文具メーカー勤務を経て2012年にフリーライターに転身。フットサル、サッカー、芸能を中心に多数の雑誌やWEBメディアに寄稿している。2019年、ABEMA Fリーグ中継の実況に起用されたのを機に本格的にMC業をスタート。以降ABEMA、FリーグTV、DAZN等で数多くのフットサルの実況を担当してきた。2022年からは地元クラブであるサッカーJ3・SC相模原のスタジアムMCも務める。
フットサルとの出会いは2004年、大学入学時にフットサルサークルに加入したのがきっかけ。その後競技力向上を目指し、2006年に神奈川県フットサルリーグ2部(当時)のアズヴェール藤沢に加入。Fリーグが誕生した翌2007年、当時湘南ベルマーレでプレーしていた大地悟氏がアズヴェールのコーチに就任して以降多大な影響を受け、フットサルの虜になる。2014年を最後に競技フットサルから離れていたが、2022年、実況の精度向上を目的に神奈川県フットサルリーグ1部のHONUで競技再開。現在は東京都フットサルリーグ2部・DREAM futsal parkでプレーを続ける。ポジションはゴレイロ(GK)。














