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作成日時:2018.11.21
更新日時:2018.11.22

【翔太と龍太、兄弟対談/前編】9年ぶりに実現した“奇跡の共闘”の先に。「龍太は新しい時代のキャプテン」(星翔太)

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今シーズン開幕前、フットサル界に激震が走った。バルドラール浦安で絶対的存在だった星翔太が、名古屋オーシャンズへ移籍したのだ。その結果、名古屋のキャプテンで翔太の弟・龍太との共演が実現した。

2人が同じクラブに所属するのは、FUGA MEGUROでプレーして以来9年ぶりとなる。彼らは今、どんな気持ちでチームメートとしてピッチに立っているのか。お互いにどんな感情を抱いているのか。そして彼らが考える「名古屋オーシャンズの強さ」とは何なのか。彼らの胸の内を、紐解いていく。

<兄弟対談後編>
【翔太と龍太、兄弟対談/後編】知られざる2人のエピソード。「喧嘩もしたけど、ずっと兄貴にくっついてきた」(星龍太)

名古屋の選手は、勝利へと直線的に向かう

──まずは、2人が考える名古屋オーシャンズの強さを教えてもらいたいのですが、翔太さんが名古屋に加入する前、バルドラール浦安ではどんな印象を持っていたのでしょうか?

翔太 浦安時代は、35分まで守れていても、残り5分でシュートを何本も打たれて逆転されたこともありました。危険な場所に入ってきてゴールに対してダイレクトにプレーするチームだなと。外国人選手の質も高いですし、日本人もしっかり走るというのは当時から感じていましたね。

──では“名古屋の先輩”である龍太さんはどう感じていますか?

龍太 まず、環境面は全く違うと思います。練習量を含めて、(シーズンを通して)リーグを最初から最後までやり続けられる体力や能力を磨ける場所だと感じています。外国人も含めて代表に呼ばれるクラスの選手ばかりなので、やはりレベルが高いなと。よく「王者のメンタリティ」、「勝者のメンタリティ」があるという言われ方もしますが、ここにいることで、みんながそれを身につけていく。一歩(でも相手に踏み込んだり、前に)出る強さや、リーグで1位をキープし続けられる強さこそが、そうしたメンタリティだと思います。

翔太 確かに「勝者のメンタリティ」は感じますね。他のチームよりも充実した環境で日々練習しているので40分間、勝つためにプレーしなければいけない責任が染みついているんだなと。

──「勝者のメンタリティ」とは具体的にどんな意味ですか?

翔太 「僕らが勝者です」とふるまったところで、それは本質ではありません。日々の練習で競い合ってメンバーを勝ち取り、チームの勝利のためにプレーすることで自然とにじみ出てくるもの。だから名古屋は、勝利から逆算して、そこに直線的に向かっていくというような、質の高い選手が多いと感じています。

──龍太さんはそんなチームの雰囲気をキャプテンとしてどのように感じていますか?

龍太 オーシャンズは12年の歴史の中で、プライドやメンタルの部分をみんなが受け継いできたと思います。ですが「人間関係」の部分では、僕がキャプテンになってから、少し変わってきたのかなと。

──変わってきた?

龍太 僕が名古屋に入ったときは「体育会系」という感じだったんです。上下関係が厳しいというわけではないですけど、先輩を立てるところはしっかり立てるという関係でうまく成り立っていた。でも今はもうそういう時代でもないですし、下が上をイジったりとか(笑)。

──確かにチーム全員の仲の良さを感じます。

龍太 プロとして生活を懸けて仕事としてやっていますが、その中には家族のような一体感といった空気があって、それは7、8年前よりも今の方が上乗せされているのかなと。昨シーズンにタイトルを奪還できたり、今シーズンもまだ負けていないというのは、そういう部分が生きていると思います。プレーでお互いを助け合えるというのは、普段の日常生活から出ているのではないかと感じます。

──それは龍太さんが意識的に作り上げてきたんですか?

龍太 難しいところですが、そのフレンドリーさを試合に持っていってはいけないと思っています。引き締めるところは引き締めないといけないので。でも(ピッチ外でもピッチ内でも)全体を通して見てみると、フレンドリーないい面が出ていますし、それを出せなかったのが連覇を逃したシーズン。失敗に学んで、この2年で少しずつ作り上げてこられたのかなと思います。

──浦安でキャプテンを務めた翔太さんから見て、龍太さんはどんなキャプテンですか?

翔太 やはり雰囲気を重要視しているなと。キャプテンとしてよく求められるのは「プレーで引っ張る」とか「背中で語る」というのが、僕の時代のキャプテン像でしたし、浦安ではそんなキャプテンを目指してやっていました。でもそこには問題点もあって、ケガでピッチにいないときは何を言っても響かないんです。そうなると、チームに影響を与えられないということが起きてくるんですよ。

──ピッチの外にいるとチームに影響を与えられない、と。

翔太 プレーが最重要視されるからですね。仲間とどんなにいいコミュニケーションを取っていたとしても、(ケガをしてしまうと)それまでと全く違う状況になるので(自分の言葉を)受け入れ難くなってしまうようです。その点、龍太はクラブの文化を自然に変えつつ、キャプテンとして「こうありたい」というのを伝えているので、新しい時代のキャプテンだなと。上下の壁を作らず、それぞれの(性格や個性、プレーの特徴などの)スタイルを馴染みやすいようにするキャプテンなのかなと思います。

龍太 (北原)亘さんからキャプテンを引き継いだときに「キャプテンとして頑張って名古屋を引っ張れ」と言われたんですけど、1年目にして、自分の気質を考えても“引っ張るキャプテン”は向いてないなと……。なので僕は、キャプテンらしいキャプテンというか、みんなが思い描くようなキャプテンをしていない気がします。性格的にもいい選手ばかりなので「みんなで作り上げているチーム」です。みんなに助けられています。

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