更新日時:2019.12.12
「またアウェイで仙台に行きたい。頑張ってほしい」。“Fリーグ退会”の花巻を知る水上玄太から、F2降格が決まった仙台への応援メッセージ。
PHOTO BY軍記ひろし
11月14日、フットサル界に衝撃が走った。
ヴォスクオーレ仙台の2020/2021シーズンF1クラブライセンス不交付(および2020/2021シーズンF2クラブライセンス交付)。つまり、今シーズンの順位に関係なく、F2降格が決定してしまったのだ。突然の事態に、多くのフットサルファンが驚きの声を挙げた。詳しい事情が説明されていないものの、今シーズン途中に、ホセ・フェルナンデス監督の退任や、エース・堀内迪弥の退団など、“何かが起きている”ことは、誰の目にも明らかだった。選手たちももちろん、この発表に動揺したに違いなかった。
しかし──。
仙台はその2日後の第26節、名古屋オーシャンズを相手にホームで4-6と善戦。さらに第29節には、ペスカドーラ町田に7-2で大勝。これまでと変わらない、むしろそれ以上の思いで、ピッチに立っていたのだろう。
突然の降格発表。フットサル界では過去にも、似たような出来事があった。ステラミーゴいわて花巻の、2011シーズン限りでのFリーグ退会。当時はリーグにライセンス制度があったわけではないが、経営的な事情から、止むを得ない決定が下されたのだ。その当時も、選手は最後の最後まで戦い続ける姿を見せた。
14日のクラブのリリースを受けて、Twitterで反応を示したのは、水上玄太だった。
これで大好きな花巻も仙台もF1からいなくなってしまう。切な過ぎる… https://t.co/Bdt6AkZf9J
— 水上玄太 (@genta_esp17) November 14, 2019
水上は、2007、2008の2シーズン、花巻でプレーした選手。「東北」への思いを持つ選手であり、今回の発表を受けて発した「切なすぎる」の言葉は、心から無念に感じるものだろう。
水上に、仙台のF2降格に直面して感じた率直な思いを聞いた。
選手にできるのはフットサルに全力で取り組むこと
──水上選手は、2011シーズン限りでFリーグを退会したステラミーゴいわて花巻に、2007年から2年間プレーしました。他クラブのことなので話しづらい面もあると思いますが、ヴォスクオーレ仙台の降格について、率直にどう感じていますか?
素直に「残念だな」という気持ちはあります。F2に降格するのはつらいと思います。僕たちとしても、仙台で応援してくれるファン・サポーターの皆さんがいるので、行けなくなるのはさみしいですね。ですが消滅したわけではないですし、言い方は難しいですが「F2に降格するだけ」。(Fリーグを退会することになった)花巻のときよりも前向きに捉えることができます。ここでしっかりと基盤を作って、またF1に向けたチーム作りをすることを考えれば、前向きに捉えることができるのかなと思います。
──花巻の退会のときは、シーズン終了前のどういうタイミングで決まったのでしょうか?
僕は(2007年のリーグ開幕から2008シーズンまで)2シーズンいて、エスポラーダ北海道に戻って、(2011シーズン限りで)退会することが決まってしまいました。ただ、僕がいる頃から「厳しい」という話は聞いていました。そうなってから思いましたが、「退会が決まる前にもっとみんなでできることはなかったのかな」と感じていました。選手はもちろんつらいですが、やはり自分が応援しているチームがなくなるのはファン・サポーターにとってはさびしいですし、降格によって選手が移籍してしまうこともあるので……。
──ただ、SNSの反応を見ても、仙台の選手は非常に前向きな印象です。
たしかにそうですね。その姿は本当に素晴らしいと思いますし、選手にできるのは、フットサルに全力で取り組むこと。それが、ファン・サポーターが残りのシーズンで願っていることだと思います。試合の内容はわからないですが、(降格が決定した直後の第26節で)名古屋オーシャンズにホームで4-6の接戦を演じることができていました。気持ちが切れてしまって大敗したわけではありません。選手は戦う気持ちをピッチで表現できていたんだと思います。やはり選手は、ピッチで何を出せるのか、応援してくれている人に何を残せるのかが本当に大事なことだと感じています。
──花巻でプレーしていた当時の選手たちはどんな様子だったのでしょうか?
僕はなくなる前にチームを離れてしまいましたが、選手は「クラブのことはクラブ。自分たちはこのチームのフットサルをしっかりやろう」と。諦めてしまったり、悲観的になることはありませんでした。(北海道に移籍後、対戦相手として見ていて)シーズンを戦い抜いていたのが印象的です。でも、選手はそうだと思うんです。やはりフットサルが好きでプレーしていますし、僕らエスポラーダは道産子(北海道出身の選手)で作られたチームで、その地域が好きでやっています。もしチームがなくなってしまっても、やろうと思えばまたできますから、極論かもしれないですがやることに変わりはないのかなと。
──花巻は今、東北リーグ2部に所属していますよね。
そうみたいですね。一度なくなったけど、またステラミーゴの名前で復活して東北リーグにいると聞いています。以前、一緒にプレーしていたメンバーもいるようですね。名前が残っていることは嬉しいですね。
──水上選手以外に、花巻に在籍していた渡邉知晃選手や田村龍太郎選手など、今も活躍しているのはファン・サポーターの方にとっても嬉しいことですよね。
渡邉選手も田村選手も僕の在籍期間は被っていないですが、そのことは間違いないですね。僕のときは、デウソン神戸にいた岡崎チアゴがチームメイトでした。彼以外にも多くの選手が関東リーグでプレーしていて、関東で試合があるときは観に来てくれているんです。それはすごく励みになりますし、元チームメイトの頑張りは、「みんなまだやっているなら、自分もやめられない。もっと頑張らなきゃ。まだまだやりたい」という気持ちにさせてもらえますね。
──そうやって選手同士で励まし合えるからこそ、仙台の選手も前を向ける。
そうですね。消滅ではないですからね。しっかりと基盤さえ作れたら、1年で再び昇格することも可能だと思います。そこに向かって頑張るしかないですよね。僕たちの気持ちとしては、またアウェイで仙台に行きたい。だからこそ頑張ってほしいです。
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