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2019.08.01

森岡薫はなぜ、40歳でトップであり続けられるのか? キングが自身のカラダのすべてを語る──/前編

PHOTO BY軍記ひろし

言わずとしれたキング・オブ・Fリーグ、森岡薫。10年以上もトップオブトップでプレーを続け、所属クラブや日本代表で数々のタイトルを獲得してきた。

アスリートの世界では、どの競技であっても逃れられない壁がある。「年齢」だ。しかし森岡は、40歳になった今も、衰えを感じさせることなくピッチに君臨している。

森岡はなぜ、トップであり続けられるのか。リカバリー、コンディショニング、トレーニング。キングが今、自身のカラダのすべてを語る──。

(取材・文 本田好伸/撮影 軍記ひろし/協力 2XU、ビジョンジム パーソナル スタジオ 新橋)

リカバリーを一番に考えるようになった

──今回のテーマは「トップアスリートのコンディショニングとリカバリー」です。そもそも、森岡薫さんが考える「トップアスリート」とは、どういう存在だと思いますか?

トップアスリートって、わかりやすくいうとiPhoneと一緒です。古いままだと、アプリが使えなくなったりしますよね。それと同じで、僕は次から次へと自分を新しいものへと更新していかないと体が動かなかくなったり、今までできた動きができなくなったりということはあります。トップで続けるためには、いろいろと研究しながら、自分の体と相談しながらやらないといけないと思います。でもまず、結局は自分の体を知らないとダメ。やればいいというわけでもないし、休めばいいというわけでもない。自分の体がどんな反応をするのか、逆にどうレスポンスを早くできるかは、体を把握しないとできない。それを、たくさん投資して、四六時中ケアしてくれる人がいればいいですけど、我々の世界ではそうもいかない。まず、自分の体をわかった上で、食事、トレーニング、リカバリー、睡眠などに取り組んでいかないと。

──「自分の体を知る」とか、「体との対話」という話は聞きますが、それはどういう作業ですか?

結局、今までの経験が鍵になってきます。自分の体を考えるだけではなく、いかにデータ化するのかというイメージ。何を食べてどういう動きができたかとか、どれだけ寝て次の日にどういう動きだったかとか。細かいところを覚えていることはそんなにありません。でも、トップで続けるためには、そういうところを細かくデータ化しないといけないなと。僕は年齢的にも長く経験してきた分、自分の体をわかっているつもりです。でも、まだ経験の浅い、これからの選手もそうですけど、年齢が上がってきてからでは遅いですからね。自分の体を分析していくべきですよね。今までの僕の経験上のことでもあるのですが、たくさん練習をして、重いものを持って、筋肉を大きくしてみて試合でどうだったかというと、失敗でした。また次に同じことをもう一度やってみたら、やはり重かった。慣れるまでもなく、ダメだった。そこをバランスよく、上も下も対応できるような練習をしようと考えてやってきました。

いろんな人の意見もあります。鍛えるのがいいですよという人も、レスト(休息、休憩)が大事ですよと言う人も、外国人選手で毎日筋トレをしている人もいます。結局、その人は自分の体を知っているからするのであって、みんなが毎日やったらその人の体になれるわけではありません。だから何がいいかという正解を探すよりも、自分がまず、何に対応できるのか。トレーニングの種類、方法はたくさんあって、もうキリがない。それがその人に合っているかどうかは、試してみるといいですよね。それをしないと、自分には何が合っているのかもわからないですから。つまみ食いして、感触を味わって、成功すればそのまましばらく続ければいい。でも、そのままでは年齢が上がることは待ってくれないし、若いときと比べた体の違いはどんどん変わっていきます。そこを更新していく作業ですね。

──森岡選手は、いつ頃から体のことを意識するようになったんですか?

ここ2年くらいですね。

──意外と最近ですね。

最近です。それまでは、やればやるだけよくなるだろうと。筋トレも、すべてそう。でも今ではある程度、休まないといけないときも、追い込まないといけないときもあるという使い分け。追い込むにしても、以前と同じ負荷でやっていいのかということもあります。筋肉の質を変えないといけない。食事もそうですね。それと、特に気にするようになったのは睡眠ですね。これはたくさん寝ればいいというものではありません。10時間寝た人と6時間寝た人では、たくさん寝たほうがよく動けるかというと、そうではない。6時間でも十分寝ていると思うし、その1日で何をしたかによっても睡眠が変わります。

──2年前くらいから意識し始めたきっかけは?

それは長くプレーしたいからですね。自分のコンディションが落ちてきたとか、プレーの質、キレが落ちてきたということを、わかりやすく感じたくはなかった。そうなってしまうだろうけど、少しでもごまかしながらやれたらなということで、体のことを意識するようになりました。

──例えば、それは回復もそう?

回復、そうですね。前に比べると遅くなっているなと感じています。以前であれば、回復を気にしなくて、黙っていれば元に戻っていましたが、今はそうじゃない。回復し切れていない時期もありましたから、今では、それが一番メインになっています。以前は7:3の割合で筋トレでしたが、今は5:5くらい。

──コンディショニングやリカバリーで取り入れたのはどんなことですか?

まずリカバリーに関しては、寝ることもそうですけど、サポートしてもらっている2XU(ツータイムズユー)のタイツを履くようになりました。代表活動に行くとたいていは2部練習なので、その合間にはタイツがないと戻らないですね。若い選手は(練習の間に)4時間あれば回復できるものを、僕はそれでは足りない。だからリカバリーのタイツを履いて回復を図っています。

 

──そうしたアイテムを使う用途としては、リカバリーがメインですか?

リカバリーと、普段は練習からカーフも使っています。フットサルは一瞬の動きが激しいですし、スピードも瞬発的に上げていくことが求められるために、乳酸が溜まりやすいんです。ふくらはぎや太もも前などは特にそうですね。カーフを使うことで、ふくらはぎは気にならなくなりました。1時間くらい強度の高い練習をしてもスッキリしていますし、張っている感じもなくなって。僕は今、(練習や試合後などの)マッサージがほとんどヒザ上だけなんです。ふくらはぎはやらない。ふくらはぎの疲労が残らないので、もも裏や背中、お尻とかですね。練習中は、カーフと、ショートタイツを履くようにしています。冬場はロングタイツも使っています。

──使うことで、体が変わってくる。

特にリカバリーは全然、違います。ロングタイツは3時間くらい履いて、脱いだ後のスッキリ感がクセになりますよ。

──試合中は?

カーフだけですね。

──他にもケアしたい箇所はありますか?

あるとしたら、お尻や股関節周り。それは選手みんな悩んでいるところで、(股関節周りの慢性的な痛みを生じてしまう)グローインペイン症候群になってしまったりするので。股関節周りの筋肉のズレ、バランスのズレが蓄積してしまうことが原因で、特に腹筋の下あたりの恥骨は、僕自身は今は大丈夫ですが、かつては悩んだこともあります。周囲の選手も、そこはすごく気にしていますね。

──2XUを使い始めたのは2年くらい?

そうですね。

──そういうアイテムは若いうちから使っておきたかったという想いも?

使っていたらパフォーマンスが上がっていただろうなとは思います。ただ、僕は若い頃は、シューズに(特別な効果を生むような)インソールも使っていなかったくらいで。裸でやるのが一番みたいな(笑)。あまり何もいらないと。

──その感覚は選手によっても違いますよね。

もちろんそうです。ただ、(アイテムを使うにしても)きっかけがない。一度でも使ってみて、今まで使わないものを使うことで最初は違和感があったりもするのですが、マイナスかプラスかで言えば、プラスしかない。パフォーマンスを高めるものなので、自分も使っていたら違ったのかなとは思いますね。

──十数年前にはなかったものが今の時代はそろっていますからね。

そうそう。だからこそ、今の選手は逆に難しいのかもしれないですよね。パフォーマンスが一人だけ上がるわけではなく、みんなが上がるわけで、(トレーニングの効果を高めるようなアイテムを)使っている人だけ抜き出るということがない。昔に比べると、Fリーグでも体が大きくなった選手がたくさんいますよね。以前は、「筋トレは(体が)重くなるからやらない」という人が多かったですが、今はやっと、みんながアスリートのような体つきになってきました。もちろん、まだ足りないとも思いますが。海外に行くと体が大きな選手ばかりですが、それはただ単に大きいわけじゃありません。アスリートらしい体ということです。今のFリーグは、以前に比べると、アスリートの体だと思いますし、代表にいるような選手はみんなそうです。体が細い選手でも、しっかりしていますから。

──体のことを考えて取り組んでいかないと勝負できない世界になってきた。

なってきていますよ。前は、サッカーでもそうですけど、ボールを蹴る技術が上手ければ通用しているところもありましたが、今ではフィジカルコンタクトや、体の能力でやらなきゃいけないシーンがたくさん出てきていますからね。

 

 

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