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2020.01.10

【森谷優太&横江怜、引退対談】「ここまで一緒にやれてうれしい」。町田一筋の同級生2人が、同じ時期にピッチを去る理由。

PHOTO BY軍記ひろし

2019年12月24日に横江怜が、25日に森谷優太が、それぞれ今シーズン限りでの引退を表明した。

ペスカドーラ町田の選手としての13シーズンにとどまらず、前身のカスカヴェウ時代からクラブ一筋で戦ってきた。森谷は「3」、横江は「9」。その背番号はもはやレジェンドナンバーだろう。彼らは同い年(森谷は1984年1月13日生まれの35歳、横江は1983年6月13日生まれの36歳)。かつて東京都選抜や日本代表としても共に戦い、切磋琢磨してきた。その2人が、同じタイミングでピッチを離れる。

2007シーズンのFリーグ初代得点王となった横江は、攻撃的な選手として、どの時代の町田でもチャンスメーカーとなってきた。スコアラーとしての一面は年々、控えめになっていったが、一方で守備面での貢献など、味方を助けるプレーで欠かせない選手であり続けた。左右どちらのサイドも苦にすることなく、両方の足で強烈なシュートを打てる。ミゲル・ロドリゴ前日本代表監督もその能力を高く評価してきた。

森谷は、今でもFリーグ屈指のユーティリティープレーヤーだ。リーグ開幕からまもない時代はテクニックを生かしたドリブル突破が際立っていたが、チームオーダーに沿って七色にプレースタイルを変えた。前線でボールを収めるピヴォとなることもあれば、フィクソとして守備の舵を取ることもある。現在の攻撃者ぞろいのチームでは、ゲームのキモを心得たバランサーとして、チームに安定感をもたらしてきた。

2人とも、切れ味はそのままに、年齢を重ねるごとに円熟味を増しながら、どちらかというと縁の下の力持ちとして、チームを支えてきた。36歳。決して若くはないが、十分に第一線で戦えるパフォーマンスを維持している。まだ、引退は早いのではないか? そんな周囲の声もあるなかで、彼らはなぜ引退するのか。

口数は少ないながら、誰よりもクラブを想う森谷の言葉を引き出すというこちら側の“裏の狙い”を胸に、12月28日、彼らにとって、町田市立総合体育館でプレーする最後のホームゲームとなったエスポラーダ北海道戦後(○3-0)、2人に「ミックスゾーン対談」を申し込んだ。

自分のできることに集中してやってきた(森谷)

──勝利おめでとうございます。チームにとってもホーム最終戦でしたし、2人ともこの試合を前に今シーズン限りでの引退を発表されました。どんな想いで試合に臨んだのでしょうか?

横江 朝起きたときや会場に入るときなどに、もっと「最後なんだな」と感じると思っていたんです。でも意外とそんなことはなくて。いつも通り朝起きて、いつも通り会場に入って、いつも通り試合の準備をして。でも「森谷さんのために」、「レオさんのために」、「レオさん、今日ゴール決めてよ」と言ってくれた若い選手もいましたし、そういう意味では、僕が一番ほしかったのは勝利。負けた試合の後にセレモニーをやりたいくないですし、本当にチームが勝つことだけを求めていたので、それを達成できて素直にうれしかった。

森谷 僕もここ(町田市立総合体育館)に来るまでは、今日が(ホームでプレーできる)最後という実感があまりなかったのですが、試合後にはそういうものがこみ上げてきました。本当に今日の試合は勝つことがすべてだった。だから僕も、勝つことだけを考えて試合に臨みました。

──試合は、森谷さん、横江さんと、金山友紀選手、新倉康明選手のセットが先発。ルイス・ベルナット監督から2人へのメッセージを感じるようでした。

横江 それはおそらくあったとは思います。それをどう感じ取るのかということよりも、長年一緒にやってきた友紀さんと森谷とできるのはうれしかったですね。(今週は)練習もあのセットでした。やっぱり、すごくやりやすかった。練習そのものもそうだし、このメンバーでできるのが楽しくて、ストレスもありませんでした。そういう部分が見えたから、監督は試合で先発起用したのかもしれないですね。

──あのセットは今シーズン、見たことがありませんでした。

横江 あの4人はなかったですね。今日の試合はうまくいきませんでしたけど(苦笑)。

──1-0で迎えた後半、横江さんは、相手ゴレイロが上がってパワープレーをしていたボールを奪ってゴールを決めました。

横江 僕以上に、周りがすごく喜んでくれましたね。(ピレス)イゴールなんて、会場に入ったときから僕の顔を見て泣きそうになっていましたから。でも、僕もつられてしまうタイプなので、それはやめてくれ、と。イゴールは僕がゴールした瞬間も一番最初に駆け寄ってきて、ちょっと泣いていたらしいです。それを見て僕ももらい泣きしそうになった。やめてくれ、って(苦笑)。友紀さんも「まだ試合中だぞ!」って。周りが、僕に点を取ってほしいという気持ちを感じましたし、第2PKはオマケですけど、ああやって「レオが蹴ってこい」と送り出してくれた。周りに感謝ですね。

──終盤に第2PKを獲得したシーン。森谷さんが蹴るような雰囲気がありましたよね?

森谷 いや、俺は蹴る気はないですし、そんな雰囲気はないです(笑)。

横江 それはなかったね(笑)。

──そうですか? ベンチからピッチにいる森谷さんに「森谷、森谷!」って指を指していて、それに対して森谷さんがイヤイヤって断るような仕草が見えました(笑)。

森谷 でも、僕自身は本当にそんな気はなかったですよ。

──監督もそこでタイムアウトを取ったので、満を持して森谷さんが来るかなと。

森谷 いや、僕はあそこで出ても決められないですよ。

──金山さんにもそのシーンのことを聞いたのですが、「もしあそこで森谷が自分でボールを持ったら、誰も文句は言わずに蹴らせたけどね。でもそこで自分がいかずに、すぐに後ろのポジションについていたのが、森谷らしいな」と。

森谷 そうですかね……。

横江 でも、蹴る選択肢は1パーセントもなかったでしょ? 練習ですら蹴ってないし。

森谷 持ってないね。

──意外ですね。

森谷 そうですか?

──横江さんも点を取っていたし「じゃあ俺も」となるものかなって。

森谷 そういう感覚は、特になかったですね。毎回そうですけど、自分の役割はそこじゃない。まあレオは取るだろうなと思っていましたけど、自分はとにかく勝ちにこだわるだけでした。

──森谷さんはもともと、どちらかというとテクニカルな部分もあって、なおかつどこでもやれるオールラウンドな選手の印象でした。でも最近は特に、後ろでバランスを取っていることが多いですよね。

森谷 そうですね。セットにもよりますが、自分はとにかくハードワークして、ディフェンスなどもマイボールにこだわってやってきました。僕にできないことが他の選手にはできるので、僕としては自分のできることに集中してやってきました。

──それこそ10年前はもっとドリブルを仕掛けていました。

森谷 そういうシーンも年々、減ってきていますね。逆にそういうことをできる選手がたくさんいるので。

──プレースタイルの変化というところは、横江選手も、Fリーグ初代得点王のスコアラーというイメージもありましたが、どちらかというと、チームのバランスを見ながらチャンスメイクもするし、守備でも貢献するという印象になっていきました。徐々に変わっていったということでしょうか?

横江 僕は監督のオーダーに沿ってやってきた選手です。どちらかというと攻撃的な選手ですが、1年目は(当時の)バイアーノ監督に「お前はとにかく点を取れ」という役割を与えてもらったからそういうプレーをしていました。監督が代われば、求められることも、チームのスタイルも変わる。岡山(孝介)監督にはディフェンスの部分もすごく求められていたので、そこは重視しました。だから監督が代わっていくなかで成長していけたと思っています。もともと特別な武器がなかったので、とにかく頭を使って、今は何を求められているのか、今は何をすべきなのかをずっと考えてやってきました。チーム、監督の色に合わせることが自分の個性。何でもやるし、何でもできるようにする。そこはずっと頭に入れて取り組んできました。だから点を取るアタッカーというよりも、今は室田(祐希)のようなドリブラーもバナナ(ヴィニシウス)のようなフィニッシャーもいるので、彼らを生かすことがチームの強みというところですね。

──「役割に徹する」ことは、2人の共通点ですね。チームのために、自分をどう出すか。

横江 若い頃は、それほどチームが勝てばいいという想いは強くありませんでした。正直、負けた試合でも「今日は点を取ったし、調子もよかったし」ってことも……。日本代表に入ったり、チームでキャプテンを任されたりもして、だんだんとですね。自分が何もできなかったとしても、チームが勝てばいいというふうにシフトしていきました。そこは年齢も理由ではありますが、バランスを考えるようになりました。

森谷 レオと同じですけど、僕もチームに求められることをやってきました。自分がフットサルを始めたのは(ペスカドーラ町田の前身の)カスカヴェウですが、いろんな個性のある選手がいました。そのなかで自分が試合に出るために何をすべきかというのは、そのときから考えていましたね。自分が周りを生かすというか、レオが言ったことと同じですけど、求められることをやりたいという気持ちが強いです。

【次ページ】自分のなかでスッとやめようと思った(横江)

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