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作成日時:2025.01.12
更新日時:2025.01.12

9試合ぶりのゴールで振り返った、無得点の2カ月半。「甘さがあった」“覚悟を決めた”19歳・柴山圭吾の変化【F1第21節|インタビュー/すみだvs浦安】

PHOTO BY伊藤千梅

【Fリーグ】フウガドールすみだ 4-5 バルドラール浦安(1月10日/ひがしんアリーナ)

1月10日、ひがしんアリーナにてFリーグ2024-2025 ディビジョン1の第21節が行われ、フウガドールすみだとバルドラール浦安が対戦。浦安は5-4で勝利した。

開始2分で先制点を許した浦安だったが、1分後に得点を奪い返し流れを引き戻したのが、セカンドセットのピヴォ・柴山圭吾だ。

ロドリゴからの浮き玉のクロスを、ファーストタッチで反転するとそのままシュート。第12節の湘南ベルマーレ戦以来、9試合ぶりの得点を挙げた。

得点機会に恵まれなかった2カ月半を「最初は甘さがあった」と振り返る柴山は、どのような変化を経てピッチに立っているのか。Fリーグ5年目の19歳が、その“覚悟”を語った。

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「試合に出られていないのに、なぜ今まで通りなの?」

──勝利おめでとうございます!今日は先制点を決められましたが、得点を振り返っていかがですか?

これまで積み重ねてきたものが形になった瞬間でした。

今まではゴール前でもう少し時間がかかっていましたが、スムーズにシュートを打てたことに自分でも成長を感じました。毎日「ゴールとつながること」を意識してトレーニングをしていたので、あの場面でもとっさに体が動いてゴールにつなげられたと思います。

──自身9試合ぶりのゴールでしたが、なかなか得点に絡めなかった期間はどんな気持ちで過ごしていましたか?

リーグ前半戦は自分でもいいプレーができていたと思います。ただ中断期間が明けて名古屋戦であれだけ外し、湘南戦では得点を決めましたが、自分のなかで納得いくものではなく……そこからは思うように試合に出場できない期間が続きました。

振り返ると、最初は甘さがあったと思います。そこまでセカンドセットとして出場していたことに甘えて、「今は出られていないけど、このままやっていたら大丈夫」と、試合に出られていない現状から目を背けていた時間がありました。

でも、ピッチに立てなくなったということは、何か変わらなきゃいけない、何かを変えなきゃより良くはならないことに気がついて、そこからはトレーニングに臨む姿勢や考える量が変わりました。そういう意味では、良くない期間でしたが、結果的には自分のためになったと思います。

──「何かを変えないといけない」と気がついたきっかけは?

いろいろな人に、いろいろなアドバイスをもらいました。「試合に出られていないのに、なぜ今まで通りなの?」と言われた時に、自分はこのままでいけると思っていましたが、周りから見たらそうではないことに気がつきました。

そこからは練習の時間や考えることを増やして「なぜ出られないのか」を何度も自問自答しました。苦しい時もありましたが、そういう時間があって成長できたと思います。

それと同時に、1試合に対する重みが自分のなかで増しました。今までは心のどこかで、結果が出なくても試合に出られると思っていた甘い自分がいましたが、今は「今日決められなかったら、来週は出られないかもしれない」と思って毎日練習しています。

──意識が変わったことで、特に変化したことはありますか?

今までであれば、2分の出場時間を得た時に「それしか出してくれない」「2分じゃ結果出せないよ」と、表には出さなくとも、心の中では正直そう思っていました。でも今は「2分の時間をもらえたなかで、自分がなにをするか」「どう爪痕を残すか」だと思っています。

あとは、一つひとつのことに感謝の気持ちをもつようになりました。メンバーに選ばれることも、試合に出ることも、今の環境も当たり前ではありません。

浦安アリーナがあって、映像を撮って送ってくれる人がいる。全員分のビブスを洗ってくれる人がいて、水も用意されています。それは当たり前ではないと改めて感じましたし、たくさんの人のおかげでここに立てています。今は、その人たちに僕ができる唯一の恩返しが、結果を残すことだと思ってプレーしています。

そういった部分が、この期間で気がついて、変化したことかなと思います。まだまだ完璧ではないですが、“甘さ”は少しずつなくすようにしています。ただ今日も点を決められましたが、描いているものには程遠いので、明日からまた練習しないといけないと思っています。



5年間を共に過ごした“選手ファーストな監督”

──2020年に初めてトップに昇格してから5年間、小宮山友祐監督の元でプレーしていますが、退任の話を聞いた時はどんな気持ちでしたか?

首位を走っている時に辞めると聞かされることは想像していなかったので、驚きました。逆に今シーズンは結果を残しているから、来シーズンも友祐さんかなと思っていたくらいです。

でも本人も言っていたように、自分なりのけじめをつけるために今シーズンで辞めるというのは、友祐さんらしいなと思いました。

──柴山選手にとって小宮山監督はどんな存在ですか?

僕をトップチームに上げてくれた監督でもありますし、すごく感謝しています。さっきの話にもつながりますが、1年目の自分を今思い返すと、何がしたいんだろうと思います(苦笑)。そんな高校1年生の僕をトップに上げてくれて、開幕戦に出させてもらって、そこからもコンスタントに試合に出させてもらいました。

監督も僕に対して期待してくれていた部分もあったと思います。その期待に応えられた瞬間もあったとは思いますが、それを裏切る形になってしまったことも実際多かったと思います。それでも使ってくださったり、たくさん声をかけてくださって感謝しています。

「そんなこと言わなくてもいいじゃん……」と思うこともありますが(笑)。ミーティングなどでは選手ファーストな監督ですし、責任感が強い人です。自分にとってどういう存在かと聞かれると難しいですが、いろいろな面で怒られてきましたけど、尊敬している人です。



自分の決断したプレーに責任をもつ

──以前、同じセットの長坂拓海選手が「シバは自分の意志をもって言葉を返してくれる」と言っていましたが、試合や練習中は年齢関係なく意見を伝えるタイプですか?

以前はそういうタイプではなく、言われたら言われっぱなしでした。他人の意見をすんなり受け入れることができる分、他人の意見に染まってしまうと言われたことがあります。

それで言うと、中断明け試合に出られなかった期間は、いろいろな人の声を聞きすぎて、自分を見失っていた時もありました。でも今大事にしていることは、ピッチで表現するのは、自分が選んだプレーだということです。自分の選択に、責任をもたなきゃいけない。

僕の好きな『DAYS(デイズ)』という漫画に「なんで自信をもてるのですか?」と聞かれた選手が「自信なんて必要ない。必要なのは覚悟だけ」と答える場面があります。

フットサルは“自分が”やっています。僕がそのプレーを選んだのだから、誰かに意見を言われた時に「違う」と思ったら、自分の考えをきちんと伝えなければいけません。その会話から相手の意見を素直に取り入れたり、自分の考えを貫いたりすればいいのだと思うようになりました。

そこから、自分を強くもってプレーに責任をもとうと思った時に、必然的に言い返すような形になっているのかなと思います。

あと、僕はかなり緊張するタイプなのですが、緊張とどう向き合うかをずっと悩んだ結果、緊張するのは、僕の中で自分のプレーに責任をもてていない時だと思ったんですね。自分が選択してミスしたら傷つくじゃないですか。それが嫌なんだなと気がつきました。

新しいことに挑戦して練習してきた時ほど、それがうまくいくか不安になってしまうから、緊張してしまう。でも、失敗したらもう1回練習するしかありません。だからこそ、ミスを怖がりすぎずに、自分で決断して、自分のやってきたことを堂々と表現しようと思うようになりました。

──優勝へのプレッシャーは感じますか?

言われてみると、それはあんまり感じないですね。ずっと決勝戦などに弱いタイプだったのですが、監督もよく「目の前の1試合」と言ってくれるので、最近はそうやって取り組んでいるからかもしれないですね。

でも、最後パワープレーが始まったら、少し意識します。パワープレーが始まると出られる時間は短いので、ベンチで声を出しながら「今決められたら勝ち点差が詰まっちゃうな」「マジで勝たないとダメなんだ」と思うことはあります。その瞬間その瞬間で意識することはありますが、普段からの緊張はそこまでないですね。

──たくさんの変化があった今シーズンも残り6試合になりましたが、どんな思いで戦って、どんなーズンにしたいですか?

名古屋戦も今日もそうですが、アウェイの試合にあれだけの人が試合を見に来てくれることが、すごくありがたいと感じています。

応援してくれる人がいて、チームを支えてる人がいる。ピッチに立ってる時間はその人たちの思いを背負っていると思っています。その人たちのためにも優勝するんだと思うようになりました。

ただ、あまり先のことは考えても仕方がないと思っているのと、どんな結果であっても、その結果や過ごしてきた時間に意味をつけられるのは、その後の自分だと思っています。

どんなシーズンにしたいかも大事ですが、今はとにかく目の前の試合に集中して、一つずつ頑張った先に、自分が点を決めて優勝する。そのためにまずは、今日この後どうするか、から考えていきたいです。

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