更新日時:2026.11.08
飛び出すだけが、関口優志じゃない。5年ぶりの日本代表で35歳の守護神が見せた“止まる勇気”【フットサル日本代表】

PHOTO BY本田好伸
【国際親善試合】日本代表 0-1 モロッコ代表(11月6日/クラサス武道スポーツセンター/大分)
関口優志が日本のゴールマウスに帰ってきた。
先月のブラジル遠征で2021年以来の代表復帰。そして今回大分で行われているモロッコ代表との国際親善試合2戦のメンバーにも選出されたのだ。
一昨日行われたその第1戦。世界ランク6位の強豪相手に、関口が見せたパフォーマンスは圧巻だった。0-1の惜敗とはなったが、彼の活躍なくして日本の善戦はなかっただろう。
自身にとって5年ぶりとなった、国内での代表戦。そこには、たしかな円熟を遂げた守護神の姿があった。
5年ぶりの日本代表でスタメン出場

35歳にして、今が全盛期--。そう形容しても過言ではないほどの存在感だった。
日本は試合全体を通じてモロッコに押し込まれる時間が長くなったが、スタメン出場した関口は数的不利やセグンド対応など、難しい局面にも落ち着いて対処。序盤から安定したセーブを見せ、最後尾からリズムをつくっていく。
1点もののビッグセーブが生まれたのは、第1ピリオド残り1分11秒だった。
モロッコが中→外→中のワンツーで日本の守備網を攻略。左からのリターンを受けた7番イスマイル・アマザルの左足シュートは決まったかに見えたが、シュートの直前に一気に間合いを詰めた関口が間一髪左腕でブロック。
第1ピリオド最終盤という時間帯を考えても、試合の流れを左右する大きなプレーだった。
進化を遂げた2026年版・関口優志

そしてスコア変わらず0-0のまま迎えた第2ピリオド4分47秒には、実に玄人好みなこの日一番のスーパーブロックが飛び出した。
モロッコが自陣から鋭いカウンターを発動。右サイドを駆け上がった8番スフィアン・シャラウィが山中翔斗と金澤空の間の僅かなコースを通し、ファーに走り込んだ15番ハリド・ブジッド・スティトュへ速く正確なラストパス。ボールとゴールの間にいるのはGK関口のみ。「遂にやられたか!」と、誰もがそう思った次の瞬間。スティトュのワントラップからのシュートは力なく関口の体に当たった。
いや、パッと見だと当たっただけのように見えてしまうが、駆け引きに勝利した関口が明確に上回ったのだ。相手のシュートミスのようにも見えてしまいがちなシーンだが、このプレーにこそ、更なる進化を遂げた2026年版・関口優志の凄味がふんだんに盛り込まれていた。
「先月と今回の代表のGKトレーニングのなかで、最後まで相手をよく見て“我慢する”というのがテーマの1つに挙げられていて、その成果が出た場面でした。第1ピリオドの左腕でブロックしたシーンとは逆に“前に出ないで止まる”という判断ができたことは良かったと思います」
関口の武器は、全身バネのような身体能力が可能にさせるダイナミック且つ思い切りの良いプレーだ。そんな彼の元来の持ち味を考えると、前に一気に飛び込みながらブロックしに行きたくなるところだろう。ましてや第1ピリオドの最終盤、その持ち味を生かした鋭い出足から素晴らしいブロックを決めていただけに尚更だ。しかし、勢いで前に出てしまうのではなく、関口は最後の最後まで相手の所作をよく観察していた。
「ダイレクトで打ってくるなら一気に前に出て距離を詰めていたと思いますが、相手がトラップに切り替えてくるのがわかったので、そこで一瞬止まって。次のシュートの瞬間、相手がループ気味に足をボールの下に入れようとしてきたので、上体を立てながら面をつくってその場に“止まる”という選択にしました」
「内山GKコーチのもと、ゴールラインから3mほどの位置を基準にそこから出るのか、下がるのかといった判断は今回の活動でも重点的に取り組んできたので、その部分に関しては1試合を通じて良いイメージでプレーできたかなと思います」
若い頃より今の方がむしろ……

モロッコの質の高い攻撃に対してよく耐えていた日本だったが第2ピリオド残り1分22秒、オスマン・エルイドリシにファーで詰められて遂に失点。結局このゴールが決勝点となり、0-1の惜敗を喫した。
失点シーンはGKが止めるには極めて難しい場面ではあったが、それでも「(石田)健太郎にもう数センチ中を切らせる、あるいはファーに付いていたタケ(本石猛裕)によりタイトに付くよう意識させるといった声掛けができたら」と、修正のための矢印はあくまでも自らに向ける。悔しさを滲ませながらも、その表情からは充実した時間を過ごせている様子が伝わってくる。
「代表メンバーから外れて何年も経っていましたが、その間もずっと、日本代表というのは目指してきた場所だったので。身体能力的にもまだまだ衰えている感覚はありませんし、経験を詰んだ分、勢いでプレーしていた若い頃よりもむしろ今の方が状態は良いんじゃないかとすら感じています。一戦一戦が勝負なので、また明後日出場するチャンスが来たらより質の高いプレーができるよう、しっかり準備していきたいと思います」
代表返り咲きを果たしたGK関口優志。味わいと深みを増した守護神が、キャリア何度目かの全盛期を迎える。
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